第7話

背後から囁かれた、狂気混じりの男の落ち着いた声色。






 男特有のほんのり香る、甘いチョコの香り。






 そして、既に気づいた時には地面に押し出すように、肩にのせられた男らしく骨ばった大きな手で押さえつけられていた。






「やめろッ!! 離せッ!!」






 突然の事に驚きつつも、いつも通りの低い声色の男口調で話し、油断を解かない事に必死になる。







「威勢のいい事で何よりだけど、ちょっとばかりか大人しくして欲しいなぁ」






 暴れる脚を動かぬように男の足が覆いかぶさったのか、その重さで一瞬にして固定される。






「へっ?!」






「これで、じっとしてられるかなぁ?」






「ゔッ……ッ」






 ただ、押し付けられているだけ。





 その、体勢にも関わらず容易に立ち上がれないこの状態に陥られてしまう。






「脚、上手く動かせないでしょ、でも、俺は力をゆるめる気は一切無いから大変になりそうだね」





 男は優しげな包み込むような声色でわざと私の耳元で囁くように声を漏らす。






「なっ……」

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