第11話
リビングに入り、紙袋から白い箱を取り出してテーブルに置く。
ふたを開けると、艶々としたイチゴがたっぷり盛られた丸いタルトが赤く輝いている。
「わあ! 美味しそう!」
「食べるだろ? カフェラテも用意するから、ちょっと待ってろ」
思った通り満面の笑みを浮かべる桃を見て、口角が緩く上がっていくのを自覚する。
「ま、待って。明日食べる」
「ん? 具合でも悪いのか?」
「違うよ。こんな時間に食べたら太るから」
チラリと壁に掛けられた時計を見る桃。
時間は間もなく十時になろうかとしている。
「これくらい大丈夫だ」
「でも……」
イチゴタルトに目を奪われたまま真剣に悩んでいる桃に、零れそうな笑いをこらえた。
「ほら、座って」
椅子を引いて促すと、桃が観念したように腰を下ろした。
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