おまけ。

side藤

第27話

ツアーが終わった後のある日のことだった。

携帯をいじっていたチャマが、突然にんまりと相好を崩した。



藤「なに笑ってんの」

直『あー、いやー…ヒロんち、また虫が入り込んで大変っぽい』

藤「また?」

直『うん。秀ちゃん出動してるみたいだから間違いない』



ライブで少し留守にしただけでそれか。

沖縄から帰った時は、そんなこと言ってなかったのに。



直『地に足がついた暮らしをしてると、しょうがないのかねぇ』

藤「なんか言い方違わない?」



地面が近いとそうなるってことかなぁ。

そういや俺たちの実家はどんな感じだったっけ。

一戸建てと集合住宅だったら、また違うもんなんだろうか。



直『まぁ秀っちが頑張ってくれるでしょ』

藤「家じゅうでホウキとか振り回してね」

直『庭で何育ててるってわけでもないのにねー』



俺んちのソファに長々と寝そべって、にこにこと笑うチャマ。

その隣にドサッと音を立てて座った。



直『藤くん?お疲れ?』

藤「いや~…そこまででもないけど」



自然に指がふれ合った。

目が合って、少しドキッとしたような感じで、チャマが視線をそらそうとする。


不意にヒロの言葉を思い出した。




――そんなの勢いでいいじゃん!




藤「…なぁ」

直『…え?』




ゆっくりと服の隙間に手をやる。

窓から入ってくる光が、白い肌の上で揺れた。




藤「いい?」

直『あ…』




勢いっていうか、ごく自然、みたいな感じで。












【完】

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Forever You【完結】 雪恵 @yukie01

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