第5話

その頃、俺は今より自意識過剰で。




こんなところで同じ学校の女に会って、なれなれしく話しかけられんのが、面倒だから。




少し離れて、こいつが他のところに行くのを、待ってたんだ。





…………。





でも、何分たっても、全く動く気配がない。




しびれを切らして、近づいてみると。




まあ、あきれるほど、一心不乱にCDを見比べてて。




俺にも気づかなそうだし、ちょうどいいやと思って。




目当てのアルバムだけ抜き取って、レジに持っていこうとしたら。




「…………」




こいつが、そのアルバムをずっと手にとってたんだ。






結局、こいつに買われて。




あれ、そのあと、他の店で探し回ったんだよな。




しばらく、根にもった。

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