第22話
妻の手には、アレが。
俺が幼稚園の頃から眠る時に愛用している、
黄色い通園帽子が握られていた。
俺は、幼稚園に入園してから今までずっと、
あの今は、色あせてクリーム色になった
通園帽子をかぶって寝ないと、落ち着かないんだ。
俺が帽子を見つめていると
「ちょっとは反省した?」
上から呆れた妻の声が降ってきた。
「反省してるよ…だから家に帰ってきてよ~。
僕がこの帽子と君がいないと眠れないの知ってるだろ~」
俺は、汗か涙か分からない、ぐしゃぐしゃの顔で妻を抱きしめた。
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