第3回:登場人物の設定 〜きみはどこまでディグるかな?〜

■最初に■

 パンツァーで書ける方はこの回はガン無視でどんどん書き進めてしまってください。ただ、パンツァーで書いて物語自体は破綻なく完結できても登場人物がひとりでも途中から悪い意味で「キャラ変」してしまう場合は、下記をちょろっと読んでみてください。


   ◇


 おはんよございます、灰崎凛音です。最近、早朝覚醒して一、二時間作業して二度寝してこれくらいに起きる、という日々が続いております。睡眠不足? 知らんけど健康によろしいとは思えませんな。

 健康といえば僕は紙巻き煙草愛煙家なのですが、普段一日15−20本吸っていたのに、ここ一週間ほど信じがたいほど吸ってなくて、なんなら一本を一気に吸えなくなっていて、もはやいっそ恐いです。これは健康にいいんですけど。


 さてさて、今回は公約通り「登場人物の設定」について、あくまでも僕の覚え書きとして、いわば「灰崎凛音流」として書き記していきたいと思います。

「こうすればいいよ!」

 ですとか、

「こうやれやゴルァ!」 

 といった提案・命令形ではなく、

「へぇ〜、ちまたにはこういう人も居るのね(優雅にアールグレイを飲みながら)」

 と参考にしていただければと思います。では参ります。



●まずは「主人公」から


 言うまでもなく、一番深掘りしなければならない人物です。

 あ、冒頭に書き忘れましたが、今回は「キャラ」、「キャラクター」という単語は使いません。あしからず。

 僕は「深掘り」とか、チャプター・タイトルにある「ディグる」という言葉を使用するのですが、主人公と他の重要人物は相当詰めます。勿論、作品のタイプやジャンル、作品の発表形態(完結させてから発表・応募か、連載なのか等)次第ではありますが。


◎氏名

 僕は大抵名前から決めます。そして、ここが最初の難関です。

 

……主人公が若い日本人の場合、俺ら世代の名前は古い……!!


 悪いが俺はどうせ昭和生まれだ! 男子は○○男とか○○太、女子は○○子、○○美が八割を占めてた時代の人間だ俺は!! だから昨今の新社会人まで行くと下の名前がまるで読めん!!


 というわけなので、僕は「○○年最新版★赤ちゃんの名前人気ランキング❤︎」や、苗字が決まれば「赤ちゃんの命名辞典」サイトなどで相性をチェックしたりします。

 基本的に僕は日本人の名前を考えますが、海外の登場人物を作る必要があった際は、英語圏なら友人に相談したり、ChatGPTに聞いてみたりしてます(例:「典型的なユダヤ系男性名のファーストネームを幾つか教えて」など)。


 日本語は漢字に意味があるので、視覚的なイメージも大切にしたいですよね。


◎年齢、誕生日、血液型、家族構成、生育歴

 血液型はたまに省きますが、上記は大抵決めますね。別に作中で主人公の誕生日会などのイベントがなくても、です。家族構成と生育歴は、主人公の現在(作中)のパーソナリティを形成する大切な要素・根拠なので、時には年表まで作ります。

 なお、主人公の年齢が自分とあまりにもかけ離れている場合は、取材も行います。


◎社会的ポジション

 言い換えれば「職業」ですね。学生なら成績もざっと考えます。文系か理系かとか、大学生以上なら専攻は何か、とかですな(日本の大学の話は話からんのですが)(某新人賞で「大学の話が薄味」とぶった切られた経験アリ)。

 フリーターとか無職の場合も、どういった経緯・意図でそのポジションに居るのか、理由は決めます。そして、経済的に困窮しているのか否か、なども。


◎身長、体重、視力(眼鏡・コンタクトの有無)、容姿、ファッションの系統(なくても決める)

 こちらは文字で描写するのですから、せめて筆者の脳内では数値くらい決めておきたいというのが本音でしょう。


 たーだーしー!!!

 

 皆が皆モデル体型とか、男性人物は皆ウォーリアー(戦士)で女性は全員細身で胸だけデカいとか、そういった画一的な設定は、少なくとも一般文芸では避けた方がよろしいかと存じます。

 ファンタジーであっても、なんつーの? 何バリ? カラバリみたいな感じでさ、登場人物の容姿・体型にもバリエーションは豊富な方が良いと、凛音たん思うの(突然の幼児化)。


◎煙草・アルコールについて

 前者はね、こんなご時世ですからね、あんまり紙巻き煙草を吸う人物を量産はできないんですけどね、決めるなら僕は銘柄まで決めますよ(喫煙者の中には銘柄にイメージがあるので、「こういう性格だからこの煙草吸うだろ」といったマッチングが可能なのです)。

 僕は紙巻きとVAPEヴェイプ(水蒸気煙草)は吸うのですが、電子煙草には明るくないのでその辺はイメージだけですが、機種くらいは決めます。


 後者、お酒については……


——俺が下戸だって言っても誰も信じてくれねんだこれが!!!


「え、めっちゃバーボンとか飲んでそうなのにw」

「その見た目その性格で言われても信じる気起きねぇわwww」

「この前『藤井風聞いてる』って言われた時以上の驚きなんだけど!」


 灰崎凛音のパブリック・イメージとは一体いかなるものなんでしょうな(遠い目)。


 まあ、とにかく飲めないので、居酒屋・飲み会・コンパといった場所、イベントに参加したことがほとんどなく(行ってもアルハラ受けるから行かにゃい)、よってお酒については完全に「無知」であります。

 ですが、カクテルなら少し分かるので、そしてロック・バーや小さくて静かなバーに行くのは好きなので、たまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーに妻(酒豪)に保護者として同行してもらって赴いたり、取材も兼ねてマスターと話したり(ロック・バーに行った時は話が止まらなくなって大変でした)、他のお客さんの人間観察など、アルコールは楽しめませんが雰囲気を楽しみに行くことはあります。


 話が多いに逸れましたが、酒飲みの登場人物が出現した場合は、実母(ザルってか枠)に話を聞いたり、アル中の父が肝臓ガンで若くして亡くなっているというのに今やすっかりお仲間な親父(元・下戸)の酒瓶コレクションからイメージをいただいたりしていまます。


◎四大欲求

 これは、ハリウッド映画のシナリオ・ライター(のはず)であるシド・フィールドが提唱した「三幕構成」について調べている時に付属的に知ったものですが、決めとくと純文学であってもエンタメであってもライト文芸であっても話の転がし方がかーなり楽になるシロモノでやんす。


 →劇的欲求:その人物が作中で成し遂げたいこと

 →態度:その登場人物がどのような言動、振る舞いをするか

 →変化:物語を通じて、その人物がどう変化するのか、或いはしないのか

 →スタンス:(これは灰崎も悩みます)いわばアティチュードでしょうか、信念というか


 どうスかコレ?! 劇的欲求さえ決めたら、あとはそこに障壁を幾つかぶっ込んでやって、主人公がそれをどのように乗り越えて、その過程で彼ないし彼女の態度がどう変化・成長し、最後に劇的欲求が達成されればもう大団円ッスよ?!?!


 や、これはマジでガチで便利です(真顔)。



●重要人物


 あれ、筆が乗ってしまって、執筆開始してから休憩やら何やらしてたら三時間ほど経過しておりました。一応言い訳をしておきますが、僕今起きたわけじゃないんで。


 で。


 恐ろしい事実にたった今気づきました。


……上に挙げた設定項目、俺、主要登場人物はほとんど決めてらぁ……


 というわけで、次行くぜ次。



●ヴィジュアル・モデル


 これ、俺は写真派・三次元派です。

 ラノベとかファンタジーとかはイラストの方が良いのかもしれませんし、そうでなくても「実在の人より自分のイメージを大切にしたい」という方もいらっしゃるかもしれませんね。 


 だが俺は写真派・三次元派だ(本日二度目)。


 まあ、別に「設定セヨ」と命じているわけではないです。ただ、もし貴方が人物像系に慣れていない場合は、文字だけの情報(設定)だとこんがらがる可能性が無きにしも非ず、ですよ、というね、老婆心です老婆心。



●本篇に登場しない設定


 これはですね、前回「設定厨」という言葉を先に使ってしまったんですが、例えば舞台となる街があるとして、本篇で登場するのはその街の四箇所だったとしても、街全体の地理・建造物・天候・生存動物・植物等々、本筋に関係ないところまで思わずついうっかり設定してしまう書き手(含む灰崎凛音)のことを俗にそう呼ぶのです。


 今回は登場人物の設定ですからね、それに絞ってお話ししますと、既に書いていますが、本篇に登場しないけど誕生日や血液型、あ、あと書き忘れてましたが、「(本人が)好きな色」と「(作者がその人物に抱く)イメージ・カラー」ですとか、色々あります。


 あとこれは完全に余談ですが、僕は多少英語が分かるので、SFやファンタジーでカタカナの命名をする際、例えば……「サシミ」という女子が居るとして(美味しそうな例ですね)、日本語表記はもちろん「サシミ」なのですが、実はスペルが「Thashimee」にしておく、とかいう誰得な「裏設定」をすることがあります。



●自分のこだわり設定など


 いきなり例を挙げますが、芥川賞作家の村田沙耶香先生は、登場人物の住居の「間取り」を絶対に決める、とインタビューでおっしゃっていました。大昔なので今は分かりませんが。そして、その間取りはほぼほぼ作品に出てきません。


 僕が煙草などの設定にこだわるように、


「この登場人物はこれだろ!」


 みたいな、を見つけて、それをウキウキワイワイと設定しまくり、たとえ本篇に登場にさせずとも、事前案など極論筆者の自己満足なのですから、もう好き勝手やっちまいましょう。オウイエ。



 というわけで、灰崎流・登場人物のディグり方をご紹介いたしました。

 また長くなった、やれやれオウイエ。

 次回はどうしよう? 師匠が言ってたこと思い出した順に書くのも手かな?

 


 あ、最後に皆さまに質問がございます。

 できる限り多くのカクヨムの書き手さまに伺いたいのですが、小説、何を使って書いてらっしゃいますか??


 僕は、短編や掌篇はMacOSとiOSの「縦式」で書いて、カクヨムの投稿フォームにコピペしていて、中長篇は同「縦式」か、Macのライティング・アプリ「egword Universal 2」を使用しています。

 また、執筆前はネタ帳にプロット・メイキングまでの設定を殴り書きします。プロットは、「Dynalist」というアプリを使っていましたが、最近は「Story Cards」という神アプリに課金して愛用しています。


 こんな感じで、皆さんの創作環境を教えていただければ幸いです!! よろしくお願い申し上げます!!! ではでは失敬。

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