悩ましき遡行
朧
第1話
どこまでも
この指はまりゆく
芯なき肌を
この脆弱で非力で
しとどに柔らかく成り果てた
白き肌を
かのひとの
男としては繊細で
しなやかなる指で
も一度触らせむと夢想するのだ
この身の心と肉が萎び弱ったように
かの指も同じく
生活に埋没し疲れ果て
淫靡な動きなど
とうに忘れてしまったろうか
ならば、尚更にと
加虐と自嘲の暗き喜びが
遠い記憶の熱き火照りへと
我も彼も
思い出さんとばかりに
非力な腕で強く痛く
白き肌をつねってみたりもする
赤い印が残る
この印をなぞれば
遡行せんとする
悩ましき魂の浅ましさ
悩ましき遡行 朧 @oboto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます