第28話

「―――…は?」



一瞬、何を言われたのかわかんなかった。



「だから…、写真をもう1回、ちゃんと見てほしいの」



でもすぐに、相澤がその疑問を解消してくれた。




なに、言ってんだ…?


写真をもう1回見てほしいって、そう言った?


…絶対に、見られたくないものじゃなかったのか?




「い、いいの……?」



恐る恐る尋ねると、彼女はその瞳のまま、大きくコクンと頷いた。



「桐谷君に、見てもらいたいの」






――右手に握ったままの相澤の生徒手帳を、ゆっくり顔の前まで持ち上げる。



相澤が眠ってる時にこっそり見ようとしてた時と同じ位、心臓がドキドキ言ってる。



誰にも見られたくないはずのモノを、まさかちゃんと見てほしいと勧められるなんて…。



本当に、俺が見ていいのか……?




゙俺に゙見てもらいたいって言った相澤。



その真意が、いくら考えてもやっぱりわかんねぇ…。



手帳を開く前、最後の確認としてちらりと相澤の顔色を伺ったけど、彼女はやっぱり強い瞳を俺に向けていたから、



再び手帳に視線を落とし、そっと、表紙を開いた――…。

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