第13話
「……」
だけど、出来なかった。
素直に言えば、『したくなかった』。
今まで廊下から教室の中を覗くのが精一杯で
相澤の姿や笑顔を遠くから見れただけで嬉しさを感じてた。
そんだけヘタレな俺が今、予想外と言えど教室の中にいて
片方は眠っているけど、好きな子と二人っきりでいる。
(も少しだけ………)
もう少しだけ、この近い距離に浸っていたかった。
静かな教室の中に、相澤の寝息だけが聞こえる。
自分の席からでもしっかり見れる、相澤のあどけない寝顔。
(まつげ長ぇー…)
起きてる時の顔でさえ、今までこんな近距離で見た事が無かったから、無防備に眠っているその姿を独占出来ている事に、俺は、緩む頬を抑えられなかった。
抑えられなかったと同時にもっと欲が出て、もっと近くでの寝顔見たさに、俺はゆっくりと二歩だけ歩みを進めた。
その時、コンッと、何かが足にぶつかった。
(ん?)
消しゴムか何か落ちてたんかな。と思い、おもむろに視線を足元に移す。
そこに落ちてたのは
(………――!!!)
俺がずっと中身を知りたくてやまなかった、表紙が紺色の、相澤の生徒手帳だった。
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