第13話

「それにしても、結末は予想外だったね!」


『いや、犯人は俺の予想通りだった。』


「うそっ!あたしあの女の人だと思ってたー!」


『弥生はまだまだ洞察力が足りませんな。』




昼食にと入ったファミレスで、あたしと誠は映画の感想を話し合う。



周りは丁度昼時とあって、家族やカップル、友達同士のテーブルから、ワイワイと賑やかな話し声が聞こえる。




映画を見た後にご飯を食べに行くって事も、付き合う前から普通にしてたから、変な気まずさや恥ずかしさは無かった。



仮にあったとしても、そう感じるのはたぶんあたしだけで。


誠はいつものように、余裕綽々な感じでいるんだろうなぁ…。




『……何?』


「――えっ?」


『さっきから俺の事じぃっと見てて。食べづらいんだけど。』



ドリアを食べる手を止めた誠が、訝しげにあたしを見る。



パスタを食べる手を止めていたあたしは、ハッと我に返った。



「べ、別に誠を見てた訳じゃないよ!」


『そーお?』


「そうだよ!ドリア見てたんだもんっ。」



慌ててパスタに視線を戻したあたしは、ドギマギしながらパスタをくるくるとフォークに巻きつける。



ふーん?なんて、意味深に語尾を上げる誠の表情なんて、ひたすらパスタをくるくる巻いてたからわからなかったけど。


絶対、意地悪な顔してる。



『んじゃ、はい。』



と、あたしの目の前に現れたのは、とろりと溶けたチーズとご飯が乗っている、銀色のスプーン。



顔を上げると、右手を伸ばした誠が『ほら、』と、ドリアの乗ったスプーンをちょこっと揺らした。



「え、なにっ?」


『食べたかったんでしょ?ドリア。』


「は、」


『ほら早く。手が疲れる。』



もう一度揺れるスプーンをあたしは何とも言えない感じで見つめる。

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