第7話
「ちょっ…、誠…っ!お願いだから下ろし―…」
『“これ”が欲しい。』
恥ずかしさの余り焦るあたしの耳に届いた真剣な声に、あたしは身を捩る事を止め、「…え?」と、聞き返す。
『誕生日プレゼント。弥生が欲しい。』
「…………は?」
『詳しく言えば、“弥生の彼氏”って言う特権が欲しい。』
さっきまで意地悪言ったりしてたのに、聞き返した言葉はやっぱり真剣で。
しかも何を言われたのか一瞬理解出来なかったのに、心臓はどうやらすぐに理解していたようで、
ドキドキドキドキ。さっきから、胸が熱くて苦しい。
『ダメ?』
「…だ、ダメって…っ、っていうか、なんで…っ?」
『そんなの、弥生が好きだからに決まってんじゃん。』
「っ、」
『ずっと、好きだった。』
狼狽えるあたしを前にして、余りにもあっさりと愛の告白をするものだから―…
今、目の前にいるこの男の子が、本当にあたしの知っている誠なのかと、疑ってしまう。
だって、一緒に遊ぶようになってから今までずっと、そんな素振り、見せた事無かったじゃない。
どっちかって言ったら、年下のくせにあたしをからかってばかりで、
いくらあたしが誠を好きでも、この先ずっと、"そういう"対象に見て貰えないと、そう思っていたのに。
『よく言うでしょ。好きな子程苛めたくなるって。』
あたしの心を見透かしたかのように言葉を続けた誠はふわりと微笑う。
その笑顔を見たら、何だか無性に泣きたくなった。
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