花言葉
第23話
我ながら、あの行動は少しクサかったと思っている。
告白の時に一輪の花を差し出す。なんて事、ドラマや漫画じゃあるまいし。
言葉ではいくらでも言い放てるけど、それを実際行動に移している所を見られたら、たぶん笑われると思う。
……でも。
そう思っても行動に移し、そしてそれを後悔していないのは
香夜が、いつかに言っていた言葉。
〈一度でいいから、綺麗な花を片手に告白されてみたいなぁ。〉
それを、叶えてあげたいと思っていたから。
今となっては、その言葉が本心だったのか、単なる理想や妄想だったのかは知る由も無いけれど。
『俺は好きな女に告白する時は、一輪の花も一緒に贈るな。』
同僚との飲みの席でついポロッと口に出してしまい
翌日には一部に噂が広まり、俺は“キザな男”と、少し印象がプラスされてしまった。
香夜に俺の気持ちが間接的にバレてしまったんじゃないかと少し動揺もしていたけれど
どうやら鈍い彼女は、周りと同じで俺への見方を少し変えただけのようだった。
変な誤解をされないように、わざわざ花言葉も調べて。
チューリップは色ごとに花言葉が違うという事を知って。
選んだのは、赤色のチューリップ。
予想外なあいつの残業や誤解があったりしたけれど
渡した後、彼女の涙目な笑顔を見れて、やって良かったと素直に思えた。
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