第17話

1年と、約8ヶ月。




温かくて、優しい手を持つ貴方に、一生懸命恋をした。





憧れや、尊敬の気持ちもあったけど



やっぱり、貴方を好きだという気持ちの方が、何倍も大きかったよ。





だから、恵先輩が彼女になったと聞いた時、凄くショックだったけど、好きだという気持ちは変わらなかった。




報われないとわかってても、ずっとずっと、真剣に貴方を想っていたよ。




だから、何も伝えてないのに諦めるなんて事が出来なかった。




真剣に想っていたから、真剣に伝えたかった。





「来週になる頃には、校庭にある桜も満開になってるかなぁ」


「なってるといいねぇ」





本気で好きだったから、すぐには忘れられない。思い出に出来ない。



涙腺が弱い私だから、不意に泣きたくなる時があるかも知れない。



卒業式当日は、゙卒業゙が淋しいのもあって、泣いちゃうかも知れない。





――でも、



でも最後には、とびっきりの笑顔を作って、卒業を祝福してあげよう。




それで結人先輩の笑顔が見れたら、とても嬉しい。






どうか。




旅立ちと同時に、新たな始まりの日。



どうかその日に、雲一つ無い青空と満開に咲いた桜の木の下で、貴方に会えますように――…。








【fin】

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