第14話

結人先輩は、ズルい。




私もズルい事をしたけど、結人先輩はもっとズルい。





受けとめてくれないくせに


突き放してもくれなくて




いつもの意地悪な先輩はどこへやらって感じる位


今日はいつも以上にとびきり優しくて。




でも最後に。



“大事な後輩の女の子”




今、最も残酷な言葉で、私の胸を一番切なく締め付けさせた。





でも、




それが結人先輩の、私への精一杯の優しさであると、わかったから




その言葉が私にとって、何よりも嬉しく救いの言葉だったから




『ありがとうございます。結人先輩―…』



目元がじんわり熱くなったけど、それでも素直に、その言葉を受けとめる事が出来たんだ―…。











「―…その後は、なんかもうスッキリした感じで、2人で色々な事喋ったよ」


「ふーん…」


「最後は2人で゙部室゙を出て、笑顔で別れてきた」


「……それもなんかスゴいね。あたしには出来ないかも」


「あはは、確かに。自分でも凄いなって思ったよ。

……でもやっぱ、無意識に気を張っちゃってたんだね」


「…当たり前じゃん。そんなの」



軽く呆れる真紀ちゃんに、私は苦笑いを返す。




真紀ちゃんに抱きついて、わんわん泣いて、少し落ち着いた後、私はゆっくりと、結人先輩との事を真紀ちゃんに話した。




買ってもらったホットレモンティーをすすりながら、ふと、空を仰ぎ見る。




真紀ちゃんと肩を並べての帰り道。見上げた空には、無数の星がちりばめられていた。

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