恋シ、愛(かな)シ。【詩集】

匿 芽衣子

あいうえお

第1話

あ。


愛してる や

逢いたい とか

貴方のために

愛の言葉。



扱いにくい

合言葉だけど

有らん限りのキモチを

貴方に

あげる。



い。


悪戯な貴方に

いいたい言葉。


一杯あるの。


何時(いつ)か 教えてあげる、ネ。


今は 言えないの。



色褪せてしまいそうで。



う。


歌いだした鳥は

泡沫の恋を

うんざりするほど 知ってる。


項垂れたりしないで。


優曇華(うどんげ)の花も きっと開くよ。


現(うつつ)の世界は

移ろう言葉だけじゃないから。



え。


偉い人になりたいと

絵空事のように、思ってた。


得も言われぬこの地球(ホシ)と

永久に、言えないけど。



英霊も眠るこの世界で

エゴイストにはなりたくない。



お。


「俺のコト好き?」 と

 

男は聞いた。


女は笑って答えなかった。


男は ますます

女を愛してしまった。


女は結局


男の想いには答えなかった。



女には 「好き」という言葉は

重すぎたから。

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