中央連邦国家アダマス②
仮眠から目覚めた満は少し自身の服装を整えて、15:11ほどに自分の部屋から出た。複数の部屋へと繋がっている廊下を歩いていると、満は複数人で話している男女がいた。
その男女をよく見ると満は、あることに気づいた。「あいつらスマホ持ってね?」と。
事実ポケットの中にスマホらしい長方形の膨らみがあり、男女で話しているうちの一人の女子は長方形のスマホらしいものを触っていたのだ。
満はその男女─男3人女2人─に「あの〜それスマホですか?」と話しかけた。すると、スマホをいじっていた女子が「え!あなたも異世界転移してきたんですか!?」と驚いたような顔で聞いてきた為、満は「はい」と答えた。
すると他の女子達がその話に乗っかってきて「どこの国に召喚されたんですか?」と聞いてきたが、満は召喚されたというより偶然転移したという形なので「いえ、召喚されたというよりいつの間にかこの世界にいたみたいな感じですね…」と言った。
女子含め男子も驚いたような顔をしていたので、そこから満についての話に持っていかれると面倒くさいので話を「ところで」と言って変えた。
「貴方たちは学生なんですか?」
「あ、そうです!学校ごと転移して合計15クラスがそれぞれ別の国に転移されました。同じクラスの人達の能力値やスキルはガチャのような感じで設定されておるので、その中で良い人は生かされ悪い人は殺されました。その選抜を繰り返して3学年の中で唯一生き残ったのは私ですね。それでスマホをいじっていた方は2学年で唯一生き残った人、1学年は全て全滅で残りの男子3人は別の学校の生徒ですね」
「え?悪いやつは殺された?じゃあ君の友達も?」
「はい、全員殺されました。」
思った以上に苦しい話で心が苦しくなった。社会、国ってもんは酷いなと思っていると後ろから「どうも」と言う中年男性の声がしたので後ろを振り返ると、頭は禿げてて老けた顔をしているおじさんのサラリーマンのような人がいた。
おじさんのサラリーマンは、ニコニコした顔で「後ろの男女は学生さんで、君は社会人かな。よろしく」と挨拶をした。
すると男子の少し太っている学生が「あ!貴方は、話題の史上最強の中年サラリーマンの佐藤武じゃないか!」と声を荒げて言った。
おじさんのサラリーマン佐藤武はそれを言われたと同時に自己紹介を始めた。
「はい。さっき紹介されたとおりね。史上最強の中年サラリーマンです。年齢は40代後半でスキルはスキルガチャを持っています。スキルガチャというのは1時間に1回スキルがランダムに排出されるガチャを回せるスキルですね。現在のスキルの合計はAランク1個、Bランク13個、Cランク20個、Dランク23個ですね。レベルは700で平均ステータスは21000ですね」
満は平均から考えると英雄クラスを優に超えており相当強いなと思っていると、佐藤武が「じゃあ君の自己紹介も頼もうかな」と言い、満を指さしてきた。
満は「お、俺?」と言ったあとに深呼吸をして自己紹介を始めた。
「えーと…名前は清水満で、スキルは…成長加速です。レベルは300で平均ステータスは30000です。それ以外は特にありません」
そう簡単に自己紹介を済ますと男女の学生が「えー!あんたも英雄クラス超えてんの?強くないー?」と言い騒いでいた。
その後も話を続けていると分かったことが2つほどあった。
1つ目は、国のほとんどが異世界から転移させてきた人達を勇者として選抜しているそうだ。この選抜で使われる人達は必ずしも地球からではなく、様々な世界から来てるんだと
2つ目は、この首都アダルンにいるアダマス国の勇者は1回あまりの力に暴れたことがあり、厳重な制御装置などを使用して束縛しているんだと。
その後、満はその学生とサラリーマンとの話を終わり、そろそろお披露目が始まるとのことなので、この宮殿の中心部の広いスペースに移動した。
移動するとたくさんの席が最奥にある舞台を取り囲むように置かれており、エルファリアの席の場所に移動し、豪華な椅子に腰を掛けた。
席に座って20分ほど待ったら舞台の方に司会者が立ち「これから!各国の勇者の紹介を行います!」と大声で言った。
司会者がそう言い切ると会場─この中央の席がたくさん置かれているところをそう呼ぶことにする─には歓声が飛び交った。
そこから司会者が開始の合図をすると、最初の国が舞台に入っていった。
舞台に入っていったトップバッターはアダマス国であり、国の代表者が挨拶を済ませたあとに巨大な透明な棺桶のようなものの中に白色の服を着て、厳重に拘束されている体がゴツいアダマスの勇者が出てきた。
その姿は異質で国家転覆をした犯罪者を拘束してるのかと思うほどの厳重な装備であった。
その後のこの勇者の解説で、この勇者は過去に力の暴走で一つの地図に載らなさそうな小国と大きな山を跡形もなく消し飛ばしているそうだ。この魔皇討伐の為の最後の切り札として活用するそうだ。
このような感じでお披露目会が進んでいき、満達の国エルファリアの番となった。
満達は舞台に上がり堂々とした態度で、ノヴァスが紹介を始めた。
「はい、私達エルファリアの勇者は偶然エルファリアに来た旅人です。」
そう紹介をした瞬間会場内は少しざわついた。
「この旅人は清水満という名前であり、私達がこの人物を勇者として選んだ理由はただ一つ。強いからです。これは見せかけの強さではなくエルファリアに襲撃しに来た魔族をデコピン一発で木っ端微塵にしたという実績があるからです」
そうノヴァスは言い切った途端に「魔族を一撃?」などという小声が聞こえたが、なんとか紹介は終了した。
その後も淡々と紹介は進んでいき、その中でエルド(ジンクス)も紹介をしていた。その時は少し蝿族ということもあり、会場全体は嫌な雰囲気になっていたがエルドの実績を聞いて会場全体は黙った。
その時満は不覚にも「俺が育てたエルド…つえぇだろ?」と思ってしまった。
その後も続いていきお披露目は終了に近づいてきた。その時宮殿の天井部分が崩壊し、舞台のところへ光が突っ込んだ。
その光は魔族の中でも特に強い十二階位の魔族が突っ込んできたのである。その魔族の魂胆としてはまだ弱い勇者を全員狩るというのが狙いだろう。─舞台で紹介をしていた国の代表者と勇者は即死した─
その魔族を抑えるために史上最強の騎士団である紅蓮の騎士団というのが抑えにかかったが、満の視界が真っ赤になるほどの血しぶきと共に紅蓮の騎士団が木っ端微塵になった。
「うーん、強そうな勇者はどいつだぁぁ?」
この十二階位の魔族のことは紅蓮の騎士団の返り血でよく見えなかったので、目をこすると赤く目が3つあり魔族というよりデーモンに近い姿をしていた。この魔族の名前をリュファスに聞くと
そうしている間に灼瞳鬼帝は強そうな勇者をじっくりと探していた。その灼瞳鬼帝が油断している隙に史上最強のガンナーであるイカツイおっちゃんの勇者グロスが巨大なマシンガンを取り出し灼瞳鬼帝に向かって連射した。
その威力は凄まじく
その連射の中で隠れて史上最強の中年サラリーマンである佐藤武は光の弓を放っていた。
それに気づいた灼瞳鬼帝は佐藤武の所に向かって突っ込んでいき宮殿を突き抜けた。その隙に佐藤武はスキル[自爆]を使い自爆をし、スキル[蘇生]を使用して自身を蘇生させた。その影で灼瞳鬼帝に大量のダメージを与えた
そして、それに便乗するかのように他の上位層の強さを持つ勇者も加わり、灼瞳鬼帝をギリギリ倒すことに成功した。
この戦いにより十二階位の魔族は上位層の勇者のパーティじゃないと勝てないことが分かり、勇者全体が気を引き締めた。─この戦いで3名の勇者が死亡した。1人は最初の灼瞳鬼帝の着地で死亡。その他は戦闘の巻き添えで死亡─
その1日後に国の代表者は自分の国に帰ることとなり、勇者達は首都アダルンに留まり訓練をすることにした。
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