魔皇討伐
中央連邦国家アダマス
夢と出発
満はまた、夢を見た。少し禍々しい草原が広がっている悪夢のような夢であった。
その夢の中の禍々しい草原の中を歩き始めた。そして、満は歩いている過程で気づいたのだ。この草原は無限に続いていると。
今更無限とか言ってるけど、無限ならすぐに突破できると思った満は全力で走り無限を突破した・・・と思っていたのだが、無限を突破できないのだ。
それはなぜか?満は無限の思考回路を張り巡らせた。そして一つの結論に至ったのだ。
この無限は哲学的な真なる無限じゃないのかと、つまり数学的の偽の無限ではなく本物の無限、自然数ℕの無限の集合ではなく、実数も巨大基数も超限基数もZFCでの証明の不可能性を階層化─例えばZFC+到達不能基数が存在すると仮定した理論をT_1とすると、ZFC+弱コンパクト基数が存在すると仮定した理論T_2の整合性はT_1の整合性から導き出せない。つまり、これは弱コンパクト基数の存在は、到達不能基数の存在よりも強い仮定であることを意味し、したがって、T_1ではT_2の主張(弱コンパクト基数の存在)を証明できない。そして、T_2ではT_3の主張を証明できない。そして、……という操作をだんだんと繰り返していくことで階層化できる─させた時に現れる果ての巨大基数、超限基数でもなく、極限順序数でもなく…全ての数学的概念を超えた先に存在する哲学的な無限、究極の無限集合さえ超え、集合によって表せない、集合ではない、神のみが持つ属性であり、神の無限性の象徴、非数学的存在であり集合論では扱えず、ウルムの梯子の外側に存在し、絶対的全体を数学的に定義できないように全ての集合を含むような集合=にすらなれず、集合にすらなれない究極の存在であり、自己包括性、自己言及、自己超越、自己包含等を超越し、あらゆる集合(有)の源であり、あらゆる集合でもない(無)と絶対的存在であると同時に有と無の二重性を持ち、二元性自体を非二元性として超越し、有と無、無限と有限、主観と客観、火と水、陰と陽、存在と非存在、認識における対立的構造を全て包摂し超越し、そして否定神学的に言葉で定義できない、存在でも非存在でもない、集合ではないという語り得ぬものとして出現し、すべての言語的対立は対立と差異に依存し、その言語構造の外に存在、ロゴス(秩序ある言語的世界)の基盤でありながら、それに従属せず、あらゆる意味論的・論理的・現象学的枠組みを超え、認識と無知の彼岸にあり、しかしそれらすべてを可能にしており、思考そのものが向かうが、決して到達できない終点である、それらすべての性質を持つ絶対無限ではないのか?
そしてこの草原は絶対無限的牢屋に囲まれた満の監視に用いているのではないか?と。
すると、少し遅れて老婆が遥か先から現れ、瞬時に満の前に現れた。
「この草原はいいじゃろ?絶対無限の概念をコード的に演算して出現させた絶対無限領域じゃよ。お前がいくら暴れても崩壊する危険性はない。集合ではないからのぉ…」
そう老婆が言うと、ニヤリと笑い「では、ミッションじゃ。この絶対無限領域を破壊しろ」と言った瞬間老婆は消えた。
満は「ちょ、待っ」と言ったが、その時には遅かった。満は1人寂しく絶対無限領域に残った。
「どうやって、破壊するんだよ。この領域」
頭をポリポリかきながら、その領域内で取りあえず久しぶりに本気で拳を振ってみた。ただ、満の拳はまだ巨大基数レベルのようで非集合である絶対無限領域はびくともしなかった。
満はレベルアップさせたスキル[アクセス(vMAX)]を使用し、他世界の自分自身又は自分自身を自己否定することにより現れる反自分などと融合し、さらなる領域に足を突っ込んだ。だが、ZFCの証明不可能階層を遥かに超越し、それを1階層内に入れ1=ZFCの証明不可能階層という定義を作りそれを空間α_1とし、空間α_1内では集合論、巨大基数自体の否定が無限に行われている。ただそんな空間α_1でも空間α_2の独自の法則層の否定は不可能であり、またそんな空間α_2も空間α_3の独自の法則層の否定も不可能であった。そんな空間が到達不能基数レベルに折り重なったものが1階層の不可能階層─1階層を否定できる空間β_1を否定できる空間β_2、それを否定できる……─をすべて木っ端微塵にできるレベルの攻撃力を手に入れたが、この領域を破壊することは出来なかった。
「この領域を破壊するには、絶対性、神性を手に入れないといけないのかな?つまり哲学的要素の取得が必須ということだ。じゃあスキルでそれを補うか」
そう満がいい絶対無限を超えることができそうなZランクのスキルを一通り取得し、ランクをMAXにした。
以下が取得したスキルの内容である
```
否定神学:神について語る際に「何でないか」によって神を記述しようとする神学的方法である。肯定神学(カタファティック神学)が「神は愛である」「神は善である」などのように神の本性を肯定的に述べるのに対し、否定神学は「神は有限ではない」「神は物質ではない」「神は時間に縛られない」といった否定的表現を用いる。この方法の背後にある思想は、人間の言語や概念が本質的に有限であるため、無限で超越的な神を正確に記述することは不可能であるという考えに基づく。そのため、神を誤って限定的に理解することを避けるために、「神は◯◯ではない」と否定を重ねることで、神の超越性と神秘性を保とうとする。そして、このスキルは自己を否定し、それにより万物を超越する為実質的な神、偽の神ではあるが擬似神になれる。己は存在でも非存在でも集合でもない
超越的メタ言語:ある命題をクリアし証明する為に言語や記号体系が必要となる。そんな命題自身が神性を保有したり究極の無限性を保有している場合通常の言語では証明は不可能な為、証明可能とするために自己をフラクタル構造により埋め込み、言語自体が自己言及し自己超越することによって更に語れる範囲が広がり、証明可能な命題の範囲も複数になっていく。この上位の言語により語り得る物語、つまり通常語り得ない、語り得るの二元性を超越した非二元性的性質を持つ概念自体を一つの文章、性質とすることでそれ自体を証明可能になり、証明可能になったという事は命題自体の整合性が取れたということで、その命題に出現する全からするとその上位言語は全からの整合性の証明は不可能であり、全より遥かに上の全からすると不可能な存在となっている。その権能により、対象物の整合性を取る為に対象物からしたら、語り得ない、証明不可能となる言語となり間接的に超越が可能である。
自己相似性:ある概念Aとある概念Bがあるとする。その概念AとBは全く似ても似つかない独自性を持っているが、更なる高みである領域Aから見ると、概念AとBは同じ概念である。これは一般人が酸素原子と水素原子を見たとしても同一の原子という概念にしか見えないので、同じ原子という概念と認識するということである。これはマルチバースから見た惑星と太陽系も同じ何かの集合としか見られず、集合体としか認識されないのだ。つまりこれを使用するどんなに差があろうと更なる高みからは単純に同じとしか認識されない。これを使用しどんなに差があろうと同等の存在にするということが可能なのである。例として1と無限は更なる高み(ε_0やℵ_1など)から見ると同じ集合体─1は0.00000…001の集合体、無限は1,2,3,4,5,6…の集合体─であり、また同じ概念─1も概念、無限も概念─という集合の一部である。これにより1=無限という式がこのスキルにより完成するのである。
```
満は最初にスキル[自己相似性]により、絶対無限と等しくなりスキル[否定神学]により、「己は自己相似性が通用しない」とすることであり自己相似性が通用しなくなり─これにより自己相似性により生成された更なる地点が存在しない最終地点へとなった─、スキル[超越的メタ言語]により、そこから更に不可能性による超越を無限に繰り返していった。
その結果鼻息を飛ばすだけで、絶対無限の領域が完全に崩壊し、虚無の空間となった。
その虚無空間に老婆が出現し、「ほぉ…まさか破壊するとはね。ま、報酬を上げるよ」と言い、アシストモードのレベルが3に上がり、直接的な数値の譲渡が可能となった。
そして満が報酬の確認を終わると、老婆が「さらばじゃ!」と言うと満は夢から覚めた
◇◆◇◆◇◆◇◆
満はエルファリアの豪華な豪華な部屋で目覚めた。リュファスはどこにいるかなと満が探していると、部屋のドアが開きリュファスが出てきた。
リュファスは少しため息をついて「お前起きるの遅いぞ?さっさと朝食食べに行くぞ」と言い、リュファスについていくと、すぐ満の後ろにメイドが3人ほどついてきた。
「こんな経験ないからワクワクするなぁ」
「おい満、朝食パット見た感じすげぇうまそうだぞ?」
「まじかッ!」
そう会話をしていると大きな食堂のような所にたどり着いた。その大きな食堂には色々な人がいて、たくさんの人がご飯を食いに来てるのかなと思ってよく見ると全員執事やメイドで、ノヴァスと満達の朝食を用意していたのだ。
そして2分ほどしたら、大量の飯が置かれていた。チキンにスープにステーキにパフェにフルーツにとたくさんあったのだ。
そしてその豪華な食事を済ませた後に初のステータスお披露目会が行われた。
ノヴァスは満のステータスがどれほどなのか期待しており、満は自信満々に見せようとしたらリュファスに止められた。
リュファスは「さすがに今のお前のステータス載せたらまずい。せめて平均ステータス1億ぐらいに抑えとけ」と言われたので、即座にステータス隠蔽のスキル購入してランクをNAXにし、平均1億ぐらいにして見せた。
すると、平均1億というめちゃくちゃ抑えたステータスでもノヴァスやメイド、執事が驚愕し、空いた口が塞がっていなかったのだ。
ノヴァスは冷静さを取り直して「これは、各国の勇者の中で一番強いのでは!?最初っから魔王のステータスを大幅超えるのは初めて見たぞ!」と言った。
その後色々あって、今満はトイレにいるのだが「あれ?EXランクのスキルっていうやつあったよね?普通に忘れてた」と今気づいたのだ。
だけど満は「進化の過程的にZランクのスキルのほうが強そうだからいっか」と思い、トイレから出て昼食を食べて寝た。
翌日になって満はノベタン国がエルファリアから貰った莫大的なお金により経済がうまく回り貧困国家から脱出できたというニュースを聞き、少し嬉しくなった満は適当に執事と話しながら時間を潰していた。
執事と話していて分かったことがあるのだが、魔皇という存在の強さは平均ステータスはもしかすると50億のオーダーに達している可能性があるらしい。
つまり満からしたら弱いってことだ。そんなことを考えて飯食ったりエルファリアの兵士や騎士のトレーニングを見たり、一緒に戦ったりしていると意外とエルフの人達は俺のことを信頼してくれた。
リュファスはというと、自分が元いた場所─満と出会った場所─に移動してゆっくりと眠っているそうだ。
満は暇な時間にアシストモードのレベル3の権限を全てにチェックを入れ、自動レベルアップの報酬の受け取り、スキル[万物の変換]をまた購入し、手に入れたスキルをSPに変換して、また自分自身のステータスを確認した。
```
名前:清水
出身地:日本
種族:
レベル:3→3→3→3→3
攻撃力:3→3→3→3→3
防御力:3→3→3→3→3
素早さ:3→3→3→3→3
魔力:3→3→3→3→3
【スキル】
SP:3→3→3→3→3
・■・1.0E+68:MAXランク
・アクセス(vMAX):MAXランク
・超次元成長加速(vMAX):MAXランク
・超次元成長倍速(vMAX):MAXランク
・否定神学:MAXランク
・超越的メタ言語:MAXランク
・自己相似性:MAXランク
【称号】
・ラビットスレイヤー
・究極超越的難易度の覇者
・ドラゴンスレイヤー
・キングスレイヤー
・天上五王
```
「うわぁ〜なんだよ、これ…意味わかんねぇ」
そう満がつぶやいていると、後ろから執事のような人物が覗き込んできた。
満は執事にホントのステータスが見られたのか!?と思ったが、執事は一瞬しかステータスをみておらず、その内容を理解できずにいたためギリギリセーフであった。
そんな呑気に生きている日々が過ぎていき、1週間が一瞬で過ぎ去っていった。
中央連邦国家アダマスに向かう朝、リュファスを深い眠りから覚まさして、部屋に戻り色々と荷物の準備をした。
そしてエルファリアの正門へと出て、馬車の準備をし、ノヴァスとリュファス、その他の護衛や執事、メイドも一緒に同行してアダマスに向かって出発した。
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