卒業
卒業式が終わると、友達と写真を撮ったり駄弁ったりはせず、すぐに自転車に乗って家路についた。
陽光が暖かいとはいえ、まだ少し肌寒い午後一時。
乗り慣れた自転車が、キィキィとペダルを漕ぐたび軋む。
途中のファミマで唐揚げを買って食べた。
これで最後の買い食いかと思うと少し寂しくなる。
俺は帰宅路最後の難関、絶壁の坂までやってきた。
これも今日で最後か。
唐突に虚しさが押し寄せ、俺は泣きそうになる。泣くもんか。
高校に入ってからすぐ父が死んだ。この学校に転校してきたのは2年前で、俺は結局あまり友達もできなかったし、学校も楽しいと思ったことはなかった。
でも、それでも、俺は一生懸命生きてきた。
俺は涙が溢れそうになる目頭をツンと押さえる。
前を向く。
それは紛れもなく、青春だった。
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