マリアローゼの実家はドタバタ騒ぎ
「ええ、あの娘は勘当して放り出しました。
闇属性を持つ娘など我が家の恥ですからな」
時は1日過ぎ、マリアローゼの生家である。
ここを訪ねた文官は頭を抱えてしまった。
王の心配を聞いた時にはまさかと思ったが、まさか本当に勘当されて追い出されているとは。
闇の魔力を持つ者が現れたことは直ぐに貴族間で話題になった。
そして、急ぎ王家で保護をして暴走を引き起こさないように監視を付ける予定だったのである。
正式な手順を踏もうとしていた文官達だが、そうしている間に家を追い出されてしまうのではないかと危惧したのである。
そんな馬鹿なと思いながら訪ねてみればこれである。
「彼女は王家で手厚く保護される予定でした。
闇の魔力を持つ娘を連れてくるという王命に逆らうと言うことでよろしいのですね?」
「え、いえ、そんなつもりでは……そもそも、そのような話は聞いておりませんでしたし」
「聞いていたかどうかは関係ありません。
王命は闇の魔力を持つ娘を差し出すこと。
それを拒むということは王命を拒否するということです」
「う、い、急いで探してきます!!」
マリアローゼの父は使用人達を呼んで急いで支度を始める。
もちろん、この間に既に動かしていた部下の一人が慌てて文官の元へと駆け寄ってきた。
「どうした、何があったの!?」
「近隣で巨大な竜が突然現れたという報せが!
更にその竜が飛び立った後は巨大な爆発が巻き起こったそうです」
「ま、まさか……ひょっとして……その竜に襲われたなんて事は無いよな?」
「付近には目撃情報はありません。
この辺りの村や街に立ち寄った形跡もなく、この屋敷を出てからの手がかりが全く無い状態です」
「さ、さがせえええええ!!
草の根かき分けてでも必ず見つけ出すんだ!!」
「は、はい!!」
部下は慌てて駆け出していく。
少女一人、直ぐに見つかるだろうと踏んでいた文官の顔が青ざめていく……もしも、少女が見つからなかったら。
もしも、その竜に殺されていたとしたら?
見つかりませんでした、竜に殺されているかもしれません……これで納得する者など誰もいないであろう。
今脅したばかりだが、こうなっては仕方ない。
この屋敷の貴族の力と財力をフルに使わせてでも必ず見つけ出さなくてはと誓う文官であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます