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沈丁花

悠真①


 あの日は、誕生日に買ってもらったゲームに夢中だった。ママの手伝いもしないで、ずっとゲームをやってた。

 お姉ちゃんが2階から降りてきて、

「悠真、ゲームは一日一時間でしょ」

 ママが決めたルールを言う。ゲームは一日一時間。でも先に学校の宿題を終わらせていれば、二時間やっていいルール。

「ゆーま! 聞いてるの?」

 お姉ちゃんが怒ってくる。いつもは優しいし勉強も教えてくれるけど、ルールとかになるとお姉ちゃんはうるさい。

「終わってる」

「なに? 聞こえない」

「宿題、終わってるもん!」

「ならママの手伝いしな!」

 お姉ちゃんはゲームを取り上げた。ぼくの身長じゃお姉ちゃんの手まで届かない。

「お姉ちゃんのばか!」

 ぼくはお姉ちゃんに怒鳴り返して、廊下を走って玄関から外に出た。


 後ろからお姉ちゃんの声が聞こえたけど無視した。ぼくはすぐ家の裏にまわって、学校で流行ってる呪いのぎしきをした。

 呪いたい人が住んでる家の近くにある木に、手をあてて言うだけ。小学校ではやってる方法。

「お姉ちゃんなんかいなくなっちゃえ」

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