第5話

 は、人の形をしていた。


 かなで皆月みなづきも、の顔は見ていない。


 は、漆黒に塗られた木製の面を顔につけていたからだ。


 人の顔よりもずっと縦に長くて、目と口の部分にはとぼけたような丸い穴があいていた。


 庭の向こうのほうでは、芝生の水やりをしていた奏の父親が倒れていた。


 ホースから流れ出る水に薄められた大量の血がその周囲に広がり、アメーバのような不定形にあちこちに流れていた。


 はちいさな萌音もねの手を引いていた。もう片方の手には、赤い液体が滴る

 萌音の白い半袖のワンピースは、半分以上が真っ赤に染まっていた。


 萌音は大きく眼を見開いていたが、何が起きているのか理解できていない、きょとんとした顔をしていた。


 は、小学生だったかなで皆月みなづきを見下ろして言った。


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