第19話
追いかけたいのに足が動かない。
そのあとのことはあまり覚えていない。
頭の中が拓海のことでいっぱいだった。
先輩は初詣のあと、一緒に初売りに行こうとか言っていたけど、
あたしは全然その気になれなくて、
人混みに酔ったからと言って、早々に帰らせてもらうことにした。
そんなあたしを送ってくれる先輩。
頭の中はさっきの光景で支配されていて、
先輩を気遣う余裕すら、あたしにはない。
先輩の優しさが、とてもとても痛かった。
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