第10話

気づいたら涙がいっぱい目にたまっていて。




ポケットからハンカチを取りだして、




気を抜くと流れ落ちそうな涙をぬぐった。









なんで涙がでちゃうんだろう…。




遠いよ…。




遠くなっちゃったからだよ、拓海が。




あたしの体の一部がなくなっちゃったみたいで、おかしくなっちゃいそうなんだよ。







家だってすぐ近くなのに。




クラスだって一緒なのに。




拓海はすぐそこにいるのに。




こんな短い時間で、あたしたちの中には、縮まらない距離ができてしまったんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る