第3話
と、その時、突然木立の陰から剣を振翳した者が飛び出して来て阿修麗の背後から切り付けた。
阿修麗は振り向き様に引抜いた剣で相手の剣を受止める。
〔キーン〕という鳥肌の立つような金属音を発して剣と剣が激しくぶつかりあった。
「なっ……まだ子供ではないか」
阿修麗は相手の顔を見て呆れたように言う。
見ると、それはまだ十四、五といった少年だったのだ。
「小僧!! 後から切り付けるような卑怯な真似を何処で教わったッ!?」
驚いて駆寄って来た宇佐が少年に向ってがなり立てる。
すると少年は
「お前達に卑怯者呼ばわりされる謂われは無い!! 敵を討つ為なら何と言われようと構いはせぬ。それに私はもう十五だ、小僧ではないッ!!」
と大声で言ってからヒョイと後へ飛退くと、剣を握り直して再び身構えた。
賢そうな眼には憎悪の色が浮かんでいる。
恐ろしくすばしっこそうで、おまけに威勢が良い。
「敵……そうか、そなた火の国の……」
阿修麗は少年を見据えたまま呟いた。
「では先ず名を名乗れ、その御方は我軍の将。敵将を討つ時は名乗りを上げるものだ」
横から宇佐が厳しい口調で言った。
「私は、火の国の丞相、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます