第28話

「……報酬、ねぇ。」


殺伐とした空間にポツリ、呟かれた言葉にあたしと、いつの間にか掴み合いに発展していた2人が注目する。


「……“ひまわりのいえ”。」


続けざまに発せられたその単語は


「え、なんで、」


――――――――あたしが暮らしている施設の名前だった。


理人さんはデスクに複数あるパソコンの一つを片手で弄りながら、ゆっくりと視線をあたしに移す。


「施設に帰れば何か宛てはあるの?」


「…いえ。」


「そうだよね。まだ18だもんね。」


「はい。」


…ん?

待って、あたしこの人たちに自分の年齢言ったっけ?

弟の年齢は言ったけど、あたしのことは…言って…ないよね…?

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