魔法使い、育成中

Kazu

入学編

第一話

時は王歴2300年、我がアストリア王国は隣国、ベルノスト帝国と緊迫した状態にあった。

そこでアストリア王国の国王はこの状態が悪化し、ベルノスト帝国と戦争になった場合に備え国中から魔法の才能を持った16歳ほどの少年少女を集めた。そして、魔法を扱う兵士として育て上げるための「魔法学校」を作り上げた。

では、魔法とはどんなものかについて話そう。この世界は銃や飛行機、一般的な電化製品だってある。

だが、魔法はこれをも簡単に上回ってしまう力を持っている。

魔法は電気をつわずに使用者の力量によって変化する。魔法を極めたものなら国中のエネルギーを丸一日、負担することだって容易い。国王は魔法の強さを利用し、この戦争に勝とうとしていた。

前置きはここまでにしておいて、王都の北にある、小さな街に住んでいる少年に電話がきた。

「えっ?!俺が魔法学校に?!かつ」


俺の名前はアルマ=イストリア、どこにでもいるような、ごく普通の人間…だった…

この世界で魔法学校に入学する、というのは普通、あり得ないことなのだ。

『俺は晴れて普通の人間を卒業!レベルアップだ!』などとうれしい気持ちは微塵もなかった。この世界の人にとって、魔法学校に行くとは光栄で誇らしいことなのだろうけど、俺にとっては違う。

そうだ、魔法学校なんざ、行きたかねぇ。俺はこの街が気に入っていて、死ぬまでこの街にいるつもりだ。

だがしかし!この電話は国からの命令なのだ。断ったらどんなことをされるかわからない。

それに、俺の親が乗り気なのだ。親父はガチな目で断ったら車で引きずり回すと言っていた。

俺は親が強引に荷造りをし、入学式の2日前に家を追い出された。

「よし!じゃあここから王都まで電車を乗り継いでで7時間か。」

こんなに人気のない田舎から王都に出るなど国外旅行レベルで大変なのだ。

俺は定期券を改札へタッチして電車へと乗り込んだ。

~数時間後~


「ふぅ、やっとここまで来た。」

俺は高速鉄道との乗り換え駅まできた。あとはこのまま王都まで座るだけと、思っていた。だが俺は深い眠りへと落ちてしまった。


「お客さん、終点ですよ?おきてください。」

車掌さんの声が聞こえる。けど、まだ寝てたい。俺はもう一度目を閉じようとした。が、俺は思いきり飛び起きて車掌さんにきいた。

「ここ、どこですか?!王都ですよね?!」

車掌さんは同情したように話し出した。

「王都から10駅先の終点です…」

終点?南の方じゃないか!じゃあ俺は昼間から5時間も寝てたのかよ!

「ちなみについさっき、線路の不具合が見つかり、今日はもう電車がないです…」

終わった…やっぱり俺は運が悪いな。俺はホームでそんなことを思っていた。

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