神様になりたい。

スピカ

第1章 神様と生贄

第1話 極度の人見知り 


ピピピピッピピピピッピピピピッ!!!

けたたましいアラームの音を止めて目覚めた神崎みさきは今日で16歳になる。

朝食を食べるためリビングへ行くと、ちょうど帰ってきたばかりの父親がいた。ふらふらとした足取りで寝室をめざす父親をみて、よくこんな泥酔状態で帰ってこられたな、と思う。


今日は誕生日だというのに、私を祝う人は誰もいなかった。ママはみさきが幼いころに亡くなったし、友達はいなかった。極度の人見知りが邪魔したのだ。父はこの通り、酒と女とパチンコに依存していて、私なんて見えていない。

朝ごはんを食べて嫌々制服に着替えた彼女は大好きなミステリー小説をカバンに入れて学校へ行った。

教室では本を読み、好きな理科の授業はわくわくしながら聞く。たったそれだけ。それだけでも私には十分すぎるほど忙しい毎日だ。


下校途中、小説を読みながら帰る私を突然の大雨が襲った。

天気予報では晴れだと報道されていたから、みんな置き傘のある友達に入れてもらっている。私は小説をカバンに戻して家まで走った。雨宿りしようと思ったけれど、田舎だから学校から家までにコンビニも、雨宿りできる場所もない。


次の日、風邪を引いた。咳が止まらない。こんなことになったのは、帰ってからちゃんと髪を乾かさなかったからだ。

まあ、今日は理科の授業もないし、学校なんて休みたかったからちょうどいい。これでゆっくり小説が読める、と喜んだものの、その喜びは一瞬にして消え失せた。

学校への欠席連絡は親がしないといけないのだ。父に会うのだけでも嫌なのに。。。


かといって登校したくもないので、しぶしぶ父の部屋へ行く。いびきをかいて寝ている父を起こし、怒らせないよう丁寧な言葉づかいで欠席連絡をお願いする。

しかし昨日はパチンコで大勝利をおさめたらしく、珍しく機嫌の良い父親は「ん、」とだけ言って欠席連絡を入れた。父の部屋から出て自室へ戻り、小説を開く。


「さっきまでのことは忘れて、小説を楽しもう」

気持ちを入れ替え、3,4時間ほど小説を読み漁った。しかし、一歩も動かず読書していたし、咳も鎮まってきたからか外の空気を吸いたくなった。ちょうど雨は止んでおり、湿った空気が漂っていた。パジャマからパーカーに着替え、外へ出る。

まさか、あんなことになるとはこの時は思いもしなかった。。。

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