第2話「本当に悪い人なの?」
翌朝。わたしはまた働くために仕事場へ行こうとした
ここの村は村とは言わず良い雰囲気をした場所だ。小さい家。大きい家がある
貧困層や富裕層がいるがその富裕層というのは貧しい人々をほっといてるためあまり良い印象はない
もしかしてモルテナさんはその富裕層から何かしてるだろうか?わたしは会ったばかりのモルテナさんを考えていた
わたしに対して優しい口調で言ってくれたあの人。そして印象深い血の涙。確かにあれは人間ではない
そう思って歩いていると大きい家の周りに人が多くいた。ここは…富裕層の家?なんとなく近寄ってみる
わたしは少し大きいため後ろから背伸びをしてみた。すると信じラ内ものを見てしまった
…シーツがかぶさった体。遺体であった
「あ、ニィナ。あまり見ちゃだめだよ」
知り合いのおばんがそう言ってくれた
「何か…あったんですか?」
わたしが言うと、おばさんはうつむいて言う
「実はね。ここの一族はあくどいことをしていて、モルテナがこの家に襲いかかって来たのよ」
モルテナさんが?詳しい内容を聞きたくなった
「モルテナさんが…ここへ襲撃に?」
「そうよ。夜、部下を連れてドアを開けた瞬間、襲って一部除いて皆殺しにしたの。お金と財宝、全て持っていったらしいわ」
なんてことだ。多分あの大鎌で人を斬ったのだろう。そしてこう…だったのか
今度はおばさんではなく周りにいる男性が言った
「この家は結構あくどいことしてるとは言えど、皆殺しは良くないだろ…」
「おまけにモルテナ、金や財宝全て持っていったからな。悪なのはどっちだよと言いたい」
モルテナさんはもしかしてお金があるのはこうやってお金をぶんどっているのか?
「しかもこういう情報はすぐにモルテナの耳に入るから余計たちが悪いぜ」
彼女は優しい性格してると思ったのに
「じゃ、じゃあよ。俺たち中層でも悪いことしたら襲ってくるのかよ」
「わからねえ…モルテナはあくまでも悪い人間が嫌いなだけで全てに対して敵にするわけではないそうだ」
わからない。でも…それでモルテナさんには会いたくないという気持ちにはならなかった
「とりあえず、気を引き締めることしないと。あとモルテナには絶対かかわらないほうがいいだろう」
「そうだな…こんな惨殺死体にはなりたくないからな」
おっと、そろそろわたしは行かないと。そんな光景を見てわたしは急いで仕事場へと行った
~
夜
仕事を終えて戻って食事をしていた。美味しい野菜と美味しいお肉で十分に満腹になった
でも…わたしは不思議な気分だった。富裕層を襲って全てを根こそぎ取って貧困の人に分け与えるのだろうか
わたしはあのときモルテナさんの優しい声と顔を思い出す。あんなに美しい人がこういうことをするんだ、と
彼女は正義なのか?悪なのか?人を殺してまで秩序を保ちたいのか?
村のちょっと離れた場所に大きい屋敷があるが、多分そこがモルテナさんのお家に違いない
もし…会えるなら…今日のことは言わずもっと喋りたい。モルテナさんのことが気に入ったからだ
ただ最初に会っただけなのに、また会いたいという気持ちになったのだ
もしかして?金と財宝を取ったもので来てくれるのでは?そんな期待もしていた
来てくれるなら…いっぱい話したい。すっかりわたしはモルテナさんを気に入ってしまったのだ
こんこん
ドアに音が鳴った。わたしはドアに行き開ける。すると…
「こんばんわニィナ」
期待どおりの人、モルテナさんだった!
「モルテナさん!」
彼女の手には袋があった
「この前話した通り。あなたに金貨をあげるわ」
モルテナさんは袋をわたしに渡した。中を見るとたくさんの金貨があった
「ありがとうございます!モルテナさん!」
わたしは大喜びでモルテナさんにお礼をした
「いいのよ。ここは貧困層が多いからまだあまり回れてないのよね」
トレンドマークに近い血の涙は無かった
「モルテナさん…これはモルテナさんの持ってるお金から?」
まさか襲撃した家の金貨ではなさそうだが
「そうなんだけど、悪い富裕層からお金を取ってね。そしてこうやって貧しい人々へお金を渡しているの」
やっぱりそうだったか…でも断る理由なんてない
「モルテナさん一人で?」
「ううん。部下というか手伝ってくれる貧困層がいてね。彼らを引き連れてやったのよ」
手伝う人がいるのか
「もしかしてその手伝う人ってお礼をかねて手伝ってくれるのですか?」
わたしが言うとモルテナさんはふふっと笑う
「その通りよ。わたくし別に見返りやお礼なんていらないのにいつの間にか多い人数で屋敷をよくしてくれるの。忠義に厚い人たちだわ」
きっと余裕を持つことができるのだからお礼をしてあげたいのだろう
「モルテナさん。わたしもモルテナさんの家に行きたいです」
「あら?いいわよ。あなたとならきっと仲良くなれそう。わたくしを驚いたり恐怖を抱いていないもの」
モルテナさんはまた笑った。本当にこの人は悪といえるだろうか?
「ただね…わたくし、実は夕方には弱くていつもその時間帯は寝てるのよ」
…ん?夕方に弱い?
「それはどういう…?」
「わたくしでもよくわからないけど、そういうことなの。だから夜に来てほしいわ。たくさんお喋りしましょうね」
モルテナさんは夕方に弱い。不思議な弱点があるものだ
「わかりました。では、夜になったら行きますね」
「ええ。そうしてちょうだい。わたくしはアンデッドだからね」
また笑顔を作る。肌が白く、アンデッドの彼女だがきれいな顔をしている
「じゃあね。あげたお金は大切に使いなさい」
「はい!ありがとうございます!」
そう言うとモルテナさんは後ろを向き、去っていった。後ろにリュックがあったのできっとこれから回るのだろう
ドアを閉めてその袋の中身を見た。高価な金貨がいっぱいあり、給料何ヶ月ぶんのお金だろうか
これなら、リフォームもできそうだしできるのなら借家でも借りれそうだ
本当に嬉しい。モルテナさんのことを更に気に入ってしまった。しかも遊びに来ていいとも言われた
お礼をしたいがお礼品がない。一応家に行くのがお礼と同じことか
わたしはもらった金貨をよく見ながら夜を過ごしていた
モルテナさん。
あなたは本当に悪い人なんですか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます