第22話

お母さんとまだ一緒に住んでるなら同居も終わりにするのね。お母さん。私をお墓に入れたらお母さんも自由に生きてね。みんなが笑える未来を生きてください。それが私の最期のメッセージです。羽津稀』と書かれていた。

「一方的な話だな」

仕方無いけど俺はついそう言ってしまう。

「みんなが笑える未来か」

俺はお骨をまじまじと見た。

『良い、わかった?』

羽津稀の声が聞こえた気がした。

「荷物、纏めるか」

俺は羽津稀と別れる事にした。

あっさりとその気になった俺には俺も不思議だった。

「帰る所、あるの?」

栞さんが俺に問う。

「えっと…」

俺は黙ってしまった。

「こいつには俺達が居ますから」

兄ちゃんが栞さんに言う。

「今日から俺が引き取ります。荷物は近々運び出しますから」

兄ちゃんが続けた。

「寂しいけど見送るわね」

栞さんが言う。

「わかりました」

兄ちゃんが栞さんと話し続けた。

俺は兄ちゃんと姉ちゃんと母ちゃんと一緒にタクシーに乗って式場を後にする。

到着したのは兄ちゃんの家。

当然そこに俺の荷物は何も無い。

「とりあえずこれにでも着替えとけ」

兄ちゃんは俺にTシャツとジャージを寄越した。

俺は何とか着替えるとソファーで眠ってしまう。

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