平和な時代へ
第20話
祭りが終わるとセインティア十三世となったシーシルティはバルガルドをセインティア十二世として神葬と呼ばれる国王だけに行なわれる葬儀で墓も用意する。
それを見届けたホークやフウ、クロハやミルキィ、シルキィの五人はクライシスエリアへと戻った。
ボンは祭りの最中に行方をくらます。
「なぁ、フウ」
ホークは突然フウを城の誰も居ない場所へと呼び出した。
「何でしょうか」
フウはキョトンとしている。
「俺達が知り合ったあのテントに一緒に帰らないか?」
「はい?」
ホークの言葉にフウは目をぱちくりさせた。
柱の陰ではミルキィも目をぱちくりさせている。
「俺にここでの生活は合わないらしくてな。お前がここに残りたいのなら残れば良い。そこはお前の好きにしろ」
ホークは優しい笑顔でフウに言った。
「貴方は私を勝手に蘇らせて勝手に置いて行くのですか?」
フウは突然泣き始める。
「ついて来るなら来いって言ったじゃないか。勝手に置いては行っていない」
ホークは言った。
「置いて行かないでください。私には貴方の傍以外に居場所はありません」
フウは涙を拭いながら言う。
「泣かれるとは思ってなかったわ」
ホークはフウの頭に手に置いた。
「すみません」
フウは泣き止んでからホークに謝る。
「謝るな」
ホークはフウの父親の様だ。
ミルキィは慌ててシルキィの下に駆け込む。
「姉様大変だよ~!」
ミルキィはシルキィの腕に捕まると彼女の顔を見上げてそう言った。
「そんな大きな声出す必要無くてよ」
シルキィは冷めている。
「この城はシルキィの領域。内外問わずシルキィは全てを視ている。知らないわけじゃないだろう」
クロハがミルキィに言った。
「姉様、ホークと寄りを戻したんじゃないの?ホーク、この城から出て行く気だよ?」
ミルキィはシルキィの腕を掴んだまま言う。
「炎の鳥の鳥かごにはこの城は小さいかしらね」
シルキィは微笑った。
だがミルキィにもクロハにも彼女の表情から寂しさが読みとれてしまう。
「らしくない」
クロハはついそう言ってしまった。
「貴方の思う私らしさとは何かしら。冷たいポーカーフェイス?」
シルキィは微笑ったままクロハを見る。
「氷の印象はある」
クロハは答えた。
「氷は溶けたら水よ」
シルキィはクロハやミルキィの前から立ち去る。
「姉様…」
ミルキィはただ目でシルキィの姿を追いかけたが彼女は振り返らなかった。
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