チェーン――自由と言う名の鎖

華王壟亞

炎の鳥

第1話

ここはとある砂漠のオアシス。

そこにはテントが一つ。

そこへラクダに乗った三人の男が。

一人がテントの中を覗き込む。

「わざわざ呼び出す為のベルを付けてあるんだ。いきなり開けるな。イライラしてたら瞬殺している」

中に居た男が男に言った。

「私達の主が貴方を雇いたいと言っています。一緒に来てくださりませんか?」

男は静かな声で言う。

「主とやらを連れて来い。俺は暫くここに居る」

男はそう言うと寝っ転がった。

「貴方を連れて帰れないなら私達はここで自害する」

男が突然言い出す。

「脅しかよ」

男が男を見た。

すると男は何とも言えない穏やかだが哀しそうな笑みを浮かべる。

「名前は?」

男は男に背を向けたまま名前を聞いた。

「私共に名前はありません」

男は答える。

「ウィンズ」

「はい?」

男の言葉に男は止まった。

「お前の名前だ。ちなみに俺の名前は知っているのか?」

男が問う。

「ホーク。あとは金次第で手を貸してくださるフリーランスだと聞かされております」

男は答えた。

「三割位だな。正解は」

男は起き上がり男の方を向いて胡座をかいて座り直す。

「幾等で雇う?」

男はニヤりと不敵な笑みを浮かべた。

「五千万ギーニ」

男は答える。

「仕事の内容は?」

男は質問をぶつけた。

「氷の秘境に住むと言われる白き魔女から不死の力を与えると言う宝石を奪って来いと」

「割に合わん」

「え」

男にそっぽを向かれてしまった男は止まる。

「直談判しに行くかな」

男は言った。

「来てくださるのですか?」

男の表情が明るくなる。

「仕事は保留。主とやらに直談判しに行く。それによっては拒否する」

「そうですか…」

男の言葉に男の表情は暗くなった。

「俺の名前はホークで良い。俺はこれからお前をウィンズと呼ぶ。良いな」

男(ホーク)は男(ウィンズ)を指差して言う。

「はぁ」

ウィンズは名前で呼ばれる事がピンと来ないらしい。

「案内しろ」

「あ、はい」

ホークがテントを出た為にウィンズも慌ててテントから出た。

「このご時世に三匹のラクダか。お前等の主は相当の金持ちだな」

ラクダを見たホークは感心する。

「お乗りください」

ウィンズは自分の乗って来たラクダにホークを乗せようとした。

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