第5話
「ここはもうジュエラムだよ、ダーク」
ポンがダークを抱え上げながら言った。
ダークはポンを見たままキョトンとする。
「俺達はシン様にこの国で待機する様に指示されていた。もしかしたらシン様はアイスワールドやご自身の身に何が起きようとしているのか知っていたのかもしれないな」
ポンは少し複雑そうな表情を見せた。
「そんなの認めたくないよ」
ダークは涙目になる。
「認める必要は無いさ。事実ではなくただの憶測でしかないのだから」
ポンはダークの頭をぽんぽんと軽く数回叩くと地面に戻した。
「ま、良いや。ディア様とレア様に紹介してやるよ。新しい幹部も居るみたいだし」
ケットがピオを見て言う。
ピオの胸元ではスペード型のブローチの中でセブンの文字が青く輝いていた。
少し進むとピオは優しい何かが自分達を包み込んだ事に気付く。
それはレッドやダーク、ハーフェも同じだった。
「ディア様の張られた結界の中にでも入ったんだろう。害は無い筈だからそこは心配要らない」
そう言いながらディーケイは先を急ぐ。
みんなと合流してからレッドとピオはずっと歩いていた。
トライアングルが壊れていたのもあってその場に放置して来たと言う。
「もうすぐ着くから」
ケイが笑顔でピオに言った。
ピオは何とも言えない表情をしている。
「どうした?」
ミーチャがピオに聞いて来た。
「平和だなぁって思って・・・」
ピオはそこまで言うと俯いてしまう。
「ピオ?」
ケットもピオを気にしていたらしく隣を歩き始めた。
「僕、ここに居て良いのかな。アイスワールドみたいな事・・・」
ピオは立ち止まって身体を震わせる。
「国が滅ぶなんてのがそう何度も続かれてたまるか」
ディーケイが言った。
「僕だって嫌だよ」
ピオは泣き出す。
『たかが貴方一人に国の存続を左右させる力がおあり?過大評価も甚だしい』
ホログラム化されたまるで人形の様な外見の女性が突然現れてピオに言った。
ピオは驚いて目をぱちくりさせる。
この国の王妃であるディアだ。
『早く我等の下へ。待っていてよ、ピオ』
そう言うとディアは消える。
「今のがディア様だ」
ディーケイはピオに今の女性がディアである事を知らせた。
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