星刻の銀河空

五月雨ツクモ

第1話 星の子

「もしかして迷子ですか?」

校舎で迷っている俺に声をかけてきたのは、銀色ベースで所々に黄緑色の髪、赤紫の瞳をした女子生徒だった。おそらくこの学園の在校生であり、俺の先輩にあたる人だろう。

「そうなんですよね。ちょっと広くて、道に迷っちゃって…」

そう俺が返事を返すと、その女子生徒は笑顔になり身体を傾けながら「良かったら、案内しましょうか?」と提案してくれた。俺は直ぐに頭を下げ、案内をしてもらうことにした。

「その格好、もしかして新入生ですか?」

「はい!今年からこの学園に通うことになったんですけど、入学式の前に迷子になっちゃって」

「おっ、いいですね。ここ学園生活ぜひ楽しんでくださいね」

しばらく歩いた後、俺は目的地である入学式の会場の体育館に着いた。

「ありがとうございます!助かりました!」

「いえいえ、これくらい大丈夫ですよ。あ、それとちょっと待って下さい!」

俺を案内してくれた女子生徒は、小さなカードを取り出し指で操作をし始めた

「これ、渡しておきますね」

目の前に数字とローマ字の羅列が書かれたモニターが表示されるが、俺はそれをどうするべきか分からなかった。

「えっと〜、これは?」

「あれ?…あっ!そっか!まだないんだった!ごめんなさい!」

さっきまで頼もしかった女子生徒が急にあたふたし始める。ギャップ萌えだろうか?ちょっと可愛く見えた。そういえば、まだ名前聞いていなかったな。

「じゃあメモ!これ渡しときますね」

今度は紙に書かれた手書きの数字とローマ字の羅列を渡された。

「さっきと同じ質問になるんですけど、これは一体?」

「これは、この学園での私のIDです。いわゆるフレンドコードって呼ばれてるやつですね。たぶん、もう時期わかると思うので楽しみにしてて下さいね」

案内をしてくれた女子生徒は「それでは、また」と言いながら体を反転させ、どこかへ行ってしまった。

「あっ」

名前聞きそびれたな。


体育館の中に入り、受付を済ませ並べられた椅子に座る。

しばらくすると辺りは暗くなり、照明が前方のステージを照らし出す。おそらく入学式が始まった合図なのだろう。ザワついていた空間も静まり、ステージ立つ者の声が体育館全体に響き渡った。


【最後に、学園長及び星導者スターロードの挨拶です】

星導者スターロード。それはこの学園に入るものなら誰もが目指す称号。現在その称号を持っている者は数える程しかおらず、人類を飛躍させる最も重要な人物達である。この学園は、そんな星導者スターロードらを誕生させるために存在してると言っても過言では無い。

学園長と呼ばれ、ステージ立ったその人は、10年前に降った星々研究し、星質ギアと言う新たな物質を見つけた誰もが知る人物、最上もがみモカだ。

【星に選ばれし者達よ。ようこそ、星空ヴァンガードライズ学園へ。君たちはまず、この学園に入れた事を誇るといい。そして、それと同時に君達は才能の原石だ。しかし、私からしてみれば、なんの輝きも無い小石のように見える。自らを輝かせるためには、それ相応の鍛錬や代償が必要だ。学園ここにいるからといってそれらを疎かにしてはならない。星の子達よ、周りの者に圧倒されること無く、自らの意思を大いにさらけ出し、より高みへと歩みを進めて欲しい。そして、私と共に星導者スターロードとして同じ場所に立てることを心より楽しみにしている】




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星刻の銀河空 五月雨ツクモ @samidare29mo

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