リ・フォーマット

えびちり

作品外情報

・もくじ

1.人物一覧

2.用語設定(世界観もこちら)

3.メカニック(主に搭乗機)

4.あらすじ


 【人物一覧表】



・リー(24)機動兵器「蒼龍」パイロット

PMCヴィーヴルに所属し、単独で作戦に望む。

以前の父母が故郷のフォーマットと共に死亡した。そのままPMCに拾われパイロットを行う。


・ラウ(16)機動兵器トライピークパイロット。フォーマット反対運動組織に所属する若きパイロット。家族友人がフォーマットの弾圧によって殺され、体制に対して頑固に反抗している。


・ネケル=アラメア (43) PMC作戦司令

若くして、私設傭兵組織ヴィーヴルの四番艦の指揮を委任された人物。船長や舵手は別にいる。基本的に依頼という形で能動的に行動を行うため、彼の仕事は依頼遂行のための作戦プランの提示と指揮をとり、依頼の責任者として矢面に立つこと。


・キューレル (54) 露天商

採掘惑星M18において、外星で取引した品物を掘り出し物と称して高値で売りつけている。

ラウの叔父


・ペルギス=フォスカント (62)オーナー

作戦を依頼した惑星所有者。資源開発公社の重役の一人であり、開発の終わった惑星を作り変え価値を再生産する事を目的とする。孫の名前をフォーマットされた惑星につける予定。フォーマットにて避難を行うのは、犯罪行為に抵触するのと世間体の問題であるため命に関して無知である立場。


・ルリ=サキガケ (31) PMC作戦司令補佐

淡々と作戦を説明する妙齢の女性。


・メカニック(38)蒼龍のメカニック


・白龍パイロット(21)若くして抵抗組織側に三機しか存在しない「白龍」を任せられ

た男。


・基地司令(54)フォーマット反対運動を扇動し、抵抗組織の長として要塞に篭る。


・オペレーター(31)複数いるが喋るのはヤムナン一人。基地司令の指示に従う信奉者。





【用語・設定】



・世界観

人類が宇宙に進出して数百年。人類はその版図を恐ろしく広げつつも、ワープ航法の府実現性による物資移動の問題から太陽系圏内に収まっている。

宇宙に進出するにあたって国を超える規模の統治概念を国家連邦議会と定めた激動の百年を経て、国という存在は巨大規模な企業の側面を持ちつつも存続し、一つの星に二つの国家がある事は稀になった。

強力な戦略兵器の実用化に伴った戦争までもの大規模化によって表立った戦争は無い一方。星、或いは国家に経済活動の企業的な側面が付与された結果、利益を追求した資源闘争、局地的な紛争が起こされることが常々あり、匿名的にそれらをコントロールする手ごまとしてPMC(民間軍事会社)が徴用されることが多い。


・惑星フォーマット

採掘可能な資源が枯渇した採掘惑星M18において、惑星の更なるテラフォーミングを行い現居住者への立ち退きを勧告する計画。

現採掘者は再び他の開拓惑星へと移送され、惑星核と外殻土壌の存在する星は太陽系周辺、中核富裕層の研究者や及び商社のホームなどの三次四次産業の従事のため利用される流れだ。

こういった計画は連邦評議と呼ばれる統治組織主導のもと太陽系付近、周辺の経済成長についていけなかった惑星から順次行われる他、惑星所有者の判断によって私設傭兵などを用いて行われる場合もある。

今回のケースは後者。惑星所有者が、使い道のなく税や金の無駄にかかる惑星をビジネスに活用しようとした。が非合法ではなく、前述の議会に承認を受けたものである。後者の場合は、評議という第三者の目がある分抵抗運動の激しいケースがある。フォーマットされ浄化された惑星は所有者によって新たな名前が入れられる事となる。

→より詳しく

通常の場合惑星はその大きさによって人の住める大気の形成や、公転自転による時間周期がバラバラでありフォーミングは段階的に行われていく。

第一段階<軌道化>

星の軌道を安定化し、太陽圏の経済圏郊外付近で公転するように動かす作業。

核パルスエンジンかなにかでアクシズぐらい無理やり押して牽引する。

とはいえ大抵の採掘星は火星だったりの衛星や、近くの星と引き合っていたりして、どう動かそうと日中夜がバラバラとなり、第二段階を経ても人体への悪影響は免れない。

第二段階<重大気>

作品時点では惑星M18はこれが完了し、経済的理由によって第三段階へと以降する事になる。

この段階では、惑星直径に応じて軌道によって溢れないように大気を纏わせる事を目的とする。

特殊調整された大気は、地球より小さい星においても纏う事で人間が呼吸のできる環境を形成し、寒い惑星を温暖させ、有害な紫外線を大幅にカットする。

月と比べてさえ重力の小さい惑星M18においても仮想海面高度(惑星のクレーター面から想定した擬似的な海面高度。クレーターや起伏のない状態の惑星直径に近いとされる)から一万メートルの大気層(対流圏は3000M)を持つ事を可能とし、オアシス程度の小規模な湖であれば蒸発せず維持できるようになる。

要は最低限人間が生活できる。これ以上はコストが高くなりすぎるので、経済圏の中心となるような発展を投資せねばならない。つまりは採掘惑星としての利用を半ば放棄し、生命育み経済を回していく必要が出てくる。

第三段階<複合月衛星>

この段階ではまず、フォーマット弾頭によって地面を耕し蒸す。この過程で惑星は超高音のマグマと砂嵐に包まれる為その期間が二日ほどだとして人間は生存が不可能である。最大地下一キロメートル程が一度吹き飛ぶ為終わる頃には地形も大きく変わる。この作業が一般的にフォーマットと呼ばれ、人死にが出るために勧告が義務であり、反抗組織はそこに付け込んで無視することで期日を伸ばそうともがくことが多い。

これによって根が張りやすく、惑星がかりでの砂漠化を防ぐ土壌となる。

その後静止軌道上に複合月衛星オービタル・ムーンを配置する。これは、周囲恒星の光量や熱量を調節し地球に極めて近い、熱環境や日夜間隔の変化を行う他、外星と繋ぐ軌道エレベータも兼ねている。

この設置の際に静止軌道擬似赤道上に円環の鉄道が敷かれるが、これは複合月衛星を時間に沿って移動させその陰によって疑似的に夜をコントロールする他に、惑星内の磁気活動もコントロールし、精密機械を正常稼働させる機能も持つ。採掘惑星の従事者達が、その立場から外星へと転じたことが少ないのは、採掘惑星の環境下では精密機械の動作保証が限られていることも理由の一つである。

そのため便宜上"月"と呼ばれるが模倣或いは人工であるために月の役割ではなく、太陽の役割である。

熱環境、時間環境、地磁気の改善を行う事で、植生や土壌を地球生命に適した形にし、海を作れる状況にする。



→機動兵器の関節。

人が宇宙に進出したことで、重機というのはさらにその間口を広げた。膂力は如何ほどか、直感的に操作できるか、複雑な形状物を保持することができるか。宇宙という無重力化で如何に整備を考えるか。そうした中で特にその動きを担保するアームの関節可動、防護、整備というのは長く議論されてきたものである。

そしてそれは戦闘用に分岐し調整された機動兵器の関節にも言えることである。宇宙に飛び出した人類が扱う機動兵器は人型を取る。それは戦車、艦船、飛行機といった機動兵器が進化に連れその要素を複合しスケールを増すなかで、取り残され役割だけ残った歩兵というものを疑似的に代替する為である。その過程で人型兵器は如何に人の動きを模倣しつつ巨大なパワーを発揮するかに磨かれていった。その過程で油圧シリンダーを経つつもこの作品内での関節機構は三世代ほどの変化を遂げている。

第一世代型は、厳密に回転をしていない。内部流体の膨らみによって上に重ねられた装甲を動かすことで見せかけているOS側の制御が重要なうえ、機動が遅いため二世代型と比べて大幅に性能格差が存在する。使用されるのは、安全性やギミック性に特化したアトラクションが主か。

第二世代型は装甲を押し合うことで動く。これも関節ではない。一つ一つは直線的にしか動かない為、様々な方向の軸に直線移動する装甲を複数同時稼働させることで動いているように見せている。そのため万が一直線稼働する軸が破損した場合行動不能となる。

しかし制限された分強度と整備性が増すほか、複数軸の一つを交換すればいいため結果としてコストパフォーマンスが良好である。OSと関節軸がセットで、フレームは干渉しない程度で自由が約束されているのも普及率に繋がる。


第三世代型は回転軸をある程度定め、フレームから人間のようにモーターを多数配置する事でより人間に近い動きと操作性、過剰回転による配線や内部のもつれを軽減。

複数の回転軸で相補的に動かすためセットとなるフレームが歪んだりすると極端に性能が低下し整備点検もしにくいが、装甲のみを取り替える分には比較的に低コストですむ。

【メカニック】



・蒼龍

可変式多重関節を持つ機体。飛行能力を備えており第四世代型に相当。白龍とは違い、飛行しながらでも四肢を動かす事ができ空戦軌道がレベチなのかもしれない。

変圧環境に晒される開拓惑星の空気を制圧するための装置が胸部コクピットブロックに設置してあり、それを十全に使用する為に高速飛行時は頭部、飛行姿勢の最前に来るように簡易変形する。


・白龍

制限回転軸の三世代型機体。持ち前の単騎飛行能力と制限回転軸の相性が絶妙に悪く広く安く売り払われた。

後に人間骨格だけでなく仮想的な龍の骨格なども参考にした改訂版がリリース。しかしその後すぐ第四世代型へ移行。


・蒼白

破壊された蒼龍と白龍をジャンクのように繋ぎ合わせた機体。使える部分だけ使用している為、一機のみであるが、蒼龍に比べて80%、白龍に比べて90%程の性能を維持している。


・トライピーク

一般に使われる反抗側の機体。

総機体数は200。というのも元々は採掘用のマニュピレータ付きのロボットであり、開拓者は日常に親しみ深い。

また、そのため空を制する力は存在しない。

牽引用の射出ワイヤークローが両肩にあり、それで危険な作業をこなす。

武装はロングセラーの通常兵器の横流し。

特別なのは採掘用の、杭と共に爆薬を打ち込んで内部破壊を狙う炸裂式採掘重機。使う機会はあまり無いが、当たりさえすれば理論上性能差を覆せるため、若者がよく使う。


・揚星航行艦「ヴィーヴル.IV」

星に揚がる艦。意味、運用は揚陸艦の拡大解釈。

素早く大気圏下に突入し、制空権を確保しながらメカニックを射出し一撃離脱することを目的としている。

後下部に帰還用の分離コンテナが存在し、作戦終了後は大気圏外から切り離して降下する。

ブロック方式で、艦の上部にコンテナや航行用スペースが集中し、底面方にカタパルトとそれに隣接する機体の整備用ドッグや船外活動用の底面搬入口に繋がる機密扉が集中している。


・アギト

採掘洞窟を基礎に、迷路のような形になった要塞。

唯一の入り口が龍の顎の形をしているので、そう言われている。

歯の部分などの刺々しいところが、機体の収納弁となっており、敵対者の攻撃を防御しながら死角を増やし囲んで叩く。ふくろだたき


・個人シャトル

キューレルの乗るシャトル。短機での大気圏脱出能力、宙間航行能力、大気圏突入能力を備える高性能機。それでいて燃費がいいので多くの物を運ぶことができるのだ。

キューレルのような星をまたにかける商人(ポーター)はこのようなシャトルを個人で利用できる程度の成功と、社会的信用を持ち合わせる稀有な人物でもある。

底面天井にそれぞれ固定用のアームとアームを移動できるレールがあり、無重力下で荷物を固定する。

荷を搬入出する時は天井底面残して横側だけ倒れ開く。

開いた部分にもレールが走っているのでそのまま外部に出せる。

【あらすじ】

宇宙に進出した人類が国という手段を捨て幾星霜。渡航技術の頭打ちによって人類は太陽系圏内に収まりつつも、より大規模な活動を行っている。

太陽系外縁の採掘惑星M18では、惑星を経済惑星へと変化させる「リ・フォーマット」の是非について、惑星所有者と開拓採掘者の間で激しい対立が行われている。

フォーマットされ経済活動用に調整された惑星に開拓者の居場所はないためだ。ラウはそうした開拓者の扱いに憤慨する一人である

その最中惑星から降下したPMCヴィーヴル所属の機体「蒼龍」とそのパイロット「リー」は単身で反対運動者の立てこもる要塞アギトの指令中枢へ突撃をかける。

戦闘によって傷を負いつつも、指令中枢へと到着したヴィーヴルが突き付けたのは、銃でなく最終勧告であった。

フォーマットはつつがなく行われる。激怒した基地司令は、リーを捕らえ、パイロットと避難民を回収するための星外脱出艇に乗り込み、リーを派遣したPMCの四番艦に乗り込み戦闘を仕掛ける。

一方、フォーマットが避けられない事を知り、基地司令が無謀を行おうと考えていることを悟ったラウは、捕縛されたリーを開放し共に星外脱出を目指す。そんな中、二人の目の前にラウと懇意にする露天商が手を貸す。

ラウ達が急行する中で戦闘は既に始まっていた。艦内の為武装を振るえないPMCの機体に対し、反抗勢力は二機掛かりで攻撃する。追い詰められるPMCを救ったのはラウとリーの乗る二機であった。戦いは終結する。

やはり、開拓者で反抗勢力の一味であるラウは拘束され次なる採掘惑星へと送られることになる。ラウは露天商キューレルの誘いを断り、リーとキューレルと共に星が終わる様を見る。

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