1st floor

第1話

「ここ、か」



ある週の水曜日。


宇津井澪うつい みおはスマホのマップアプリが示す場所に立って、目の前の建物を見上げた。


目の前にそびえ立つタワーマンション。


それを見るだけで、ポカンと口が開いてしまう。


まさかこんな立派なマンションだとは思わなかった。


いや、住所をマップアプリで検索したときに大体の目安は付けていた。

だが自分の発想がいかに貧困だったのか思い知らされるほど、目の前には想像と桁違いの物件があった。


都心の一等地に名を連ねるその場所に住んでいると言うだけで、ある程度どんな生活レベルの人か想像はしていた。


ただでさえこうして訪れる家は裕福な家庭が多い。

それは理解している。


しかし、その概念さえあっさりと塗り替えるマンションだった。


ここに住んでいる人は明らかに違う世界の人だ。


マンションの近くを歩いている人の服装や持ち物を見るだけでもそれが分かる。


広いエントランスに、コンシェルジュ付きのマンション。

こんな場所に足を踏み入れるのが、いかに身分不相応なのか分かっているだけに追い返されやしないかと怖気づいてしまう。

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