第2話

至って平凡、何の変哲もなければ、秀でた才もない。


凡人中の凡人。学生の頃も、陽キャの部類でもなければ、陰キャでもなかった。他人の話に適当に相槌を打ち、決して角を立てず、良い人に見られようと努力して息を殺す普通の人間。


おかげで波風立たない人生を送っている。

悪くいえば取り柄のない人生を過ごしている。


それゆえ、例えば地元から遠く離れたこの地で同じ高校の同級生と合コンするという奇跡的確率に遭遇したとしても、



「あれ、きみたしか同じ高校だったよね」

「あ〜わかる。でも、名前……」

「確か……いや、ごめん、わからん」

「でも居たよね、タメに、ね!そうだよね?」



たしかに認知はされてはいるものの、そんなレベルの存在である。


名前も知られることの無い存在であれば、最初から知らず存ぜぬで接してくれた方が良かった。おかげで微妙に、きまずい、そんな一線が出来るのだ。

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