3つめの起動
光は毎日のようにヴァーチャル体として活動を続けている
自分はここにいる。とでもいうかのように
とある日の配信で初見さんが入室してきた
そしてテキストでこう質問があった
「あなたは何番目の人ですか?」
日参してくれているリスナーにも意図がくみ取れなかったらしい
意味が分からない無視しとこう
そう決めた
自分の体だが、これ以上踏み込まれるのはもうたくさんだ
「さっきのリスナーさん…だっけ?あれ、気を付けた方がいいわね」
光に話しかけたのは零だ。21歳、スレンダーで中性的な顔立ちの零
そして18歳の俺。光
「わかってる。ヘマはしねぇよ」
談話室のモニタと俺の顔をチラチラ交互に見ながら零は言う
「まぁ…わかったとしてもあちらは何もできないはすだけれど、でも警戒するに越したことはないわね」
「心配すんなよ。なにひとつとしてこちらの情報はないんだぜ?」
うーん!と伸びをしながら零は言う
「そうねぇ、心配しすぎか!じゃ、私は明の相手でもしてくるわ~」
ひらひらと手をふって零は明がいるであろう部屋へと歩いて行った
さっきの初見、マジで何だったんだ…?
考えても考えても答えが出ないままだ
埒が明かない
その思考はいつしか苛立ちになっていった
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