母さんが亡くなって

片山大雅byまちゃかり

母さん

 夜中の三時だっただろうか。いつ急変してもいいように、病室で寝泊まりしていた父さんから電話がかかってきた。『母さんが持たないかもしれない。家族を呼んでくれって病院が。僕が今から迎えに行くから準備して』と。


 自分はそんなバカなと最初思った。信じたくないという気持ちも強かったかもしれない。なにせ母さんはまだ五十一歳なのだ。人生百年と呼ばれる今の世では若すぎる。


 迎えは思いの外早く来た。二日は寝てないはずなのに父さんの目はバッキバキで『ああ、これ本当なんだな』って察してしまった。妹は冷静を保っていたけれど、多分察していたと思う。


 高速道路で病院に向かうまでの時間は、何をしていたか正直覚えていない。


 病院について、急いで病室に向かうと、母さんは既に事切れていた。妹は母さんの名前を叫びながらその場に泣き崩れ、自分は溢れ出る喪失感に打ちのめされて倒れ込んでしまった。


 看護師は心拍数と瞳孔を確認した後『四時◯◯分◯◯さんご臨終です』と静かに告げた。


 二月十四日、世間ではバレンタインデー。自分にとってはずっと忘れる事の出来ない日になれだろう。

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