第29話

その時、彼女が向かいの席に座ったと同時に彼が戻ってきて、



「なんだユイ。ここに居たの?せっかく探しに行ったのに」



そう言いながら私の隣に座ると、



「ユイカ、俺の姉さんだよ。…って、先に会っちゃったけど」



苦笑いしながら紹介する彼を見ながら、今度こそ「ユイカです」と挨拶をすることができた。


それからお茶を用意してくれたお母さんもやってきて、しばらくは4人で談笑した。


いや、正確には3人だ。


なぜなら、私は途中から話が頭に入ってこなかったからだ。


頭がいたい。早く帰りたい。ここからすぐにでも立ち去りたい。


帰るまでの間、ずっとそんな事を考えていた。

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