第4話

「ひな」


「・・・・・・はい」


「付き合え」



差し出す猪口に彼女はまた酒を注ぐ。


そしてそれをそのまま彼女に突き出せば、



「・・・・・・倒れても知りませんよ?」



そう言ってゆっくりと酒を口に運んだ。


コクリと小さく鳴る喉。


赤みを帯びていく彼女の肌。


一層潤む瞳――。



「安心しろ、介抱してやるよ」



彼女を引き寄せて酒に濡れた唇を奪う。


甘い酒の薫りが伝わる。



「とりあえず、二人で酔いつぶれようか?」



こいつと一緒に酒を飲んで、


酔って、


眠って、


夢を見て、


同じ朝を迎える。



これ以上の幸せが他にあるだろうか?





そんな考えに思わず自嘲し、俺は彼女の喉に喰らいつく。



今夜は本気で酔えそうな予感がした。

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蝶は花に止まりけり~桜と月が輝く季節~ 桜瀬ひな @hina_xxx

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