第3話、第23話 if 〜いい人になったら〜 

(第3話)


 盗賊たちを撃退し徒歩で進んでいき、夜になって次の街モメンタムに着いた。



 街は魔物の侵入を防ぐため外壁で囲まれていて、その門に近づくと見張りの兵士がいる。



「あーだめだだめだ! もう街には入れねーよ。夜が明けてからまた来な。それか入場料金貨1枚よこしな」



 ん? 入場料って確か身分証がない者は銅貨3枚のはずだけど?

 金貨1枚って庶民が1か月余裕で暮らせる額だし。



「ガキにはわかんねーかなあ。特別に入れてやろうってんだ。ホントは魔物が活発な夜に門は開けらんねーんだよ。しかも身なりのいい服にマジックバッグ、金持ってんだろ。社会勉強だ。それとも野営するか?」



 つまり僕の足元を見てるのか。

 どうしてこう異世界の人間ってクズばっかなんだろう。

 まともな人にな~れ、【リバース】!!



「坊主、野営はきついだろう。中には入れてやれねえが、門の外にある屯所に泊まっていきな。魔物には襲われないし、簡易だが飯もベッドもあるぞ。こんなところに子ども一人でくるなんて訳ありなんだろ? 何、実家を追放された? ひでぇ親もいたもんだな! よっし、入場料も取らねえ。黙っててやるから明日の朝こっそり入って行けよ」



 こうして次の朝まで泊めてもらい、門番さんがこっそりタダで通してくれた。



◇◇◇



(第23話)

 

「ぐっ、がほっ! これは体が治っている? そうだ、姫様は? 姫様!」



 完全回復した女騎士はまず姫様を向いて無事かどうか確認した。



「よかった姫様は無事か……。そこのお前、感謝するぞ。ん、冒険者風情か。まあよくやったと誉めてやろう。姫様を助けることができた栄誉を胸に刻むがよい!」



 女騎士の後ろではその主人と思われる姫様が申し訳なさそうな顔をしていた。

 これは、ダメな女騎士をあてがわれてるのかお姫様。



 姫様があまりにかわいそうなので女騎士の性格を【リバース】!!



「少年よ、エリクサーを処方していただき感謝する。今は持ち合わせがないが必ず礼をさせてもらおう。私の名はナタ……、すまぬ事情により名乗ることができない。私のお仕えする御方も同じだ。申し訳ないが貴殿のお名前を伺ってもよいか?」



「僕は、アラン=ヴァー……、いやアイアン級冒険者アランです」



「アラン殿か。アイアンランクと申されたか? このロイヤルオークたちを撃破したのは状況からしてアラン殿と思われるが、アイアンというのは一体……?」



「ああ、あんまり真面目に依頼をこなしてないからなので、気にしないでください」



「……恩人に対して詮索は失礼にあたるな。申し訳なかった。ところで、野営のあてはあるであろうか。我が主を守らねばならぬが今の私では力不足。どうかご助力をお願いしたい」



「はい、少し離れたところに簡易な小屋を建てております。そちらにご案内させていただきますね」



「かたじけない」



 そして小屋に案内したが一人用で狭いし男女が同じ建物の中にいるのはまずいので、もう一つ大きめの小屋を【岩鉄魔法】で作成し泊まってもらう。

 食事の用意や外の見張りは女騎士が全てテキパキとこなし、僕はゆっくりと寝ることができた。



 そして、翌朝からは向かう場所が同じということで臨時の護衛となり、ファンダンタルの町まで送り届けた。



「この恩は決して忘れぬぞ、アラン殿。後日ここの領主を通してお礼をさせてもらう。それではな」



 あとで僕の泊まる宿に金貨の入った大袋と、ギルドから特別昇格の通知がきた。



◇◇◇◇◇◇


本編第3話は↓です。

https://kakuyomu.jp/works/16818023213835651444/episodes/16818023213948072024


本編第23話は↓です。

https://kakuyomu.jp/works/16818023213835651444/episodes/16818093073103616153


 性格改変リバースでした。

 ナタリアとかキャラ違いすぎだろ! と書いてて思いました。


 いつもお読みいただきありがとうございます!

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