第6話死闘
目の前のゴブリンソルジャーが、ギラついた視線を向けながらゆっくりと剣を構えた。
普通のゴブリンとは違い、訓練を積んでいるのか、隙のない立ち回りをしている。
「……やるしかない」
俺は剣を握り直し、深く息を吐いた。
最初の攻撃
ゴブリンソルジャーが間合いを詰め、一気に斬りかかってくる。
ブンッ! と音を立てて振るわれる剣。
「くっ!」
間一髪で横に転がり、回避する。だが、その瞬間——
「ぐっ!?」
盾が俺の脇腹に叩き込まれた。
「盾を使ってくるのかよ……!」
普通のゴブリンとは違い、こいつは間合いの管理とコンビネーションを心得ている。
剣術初歩の活用
「落ち着け……スキルを使いこなせ!」
俺は習得した【剣術初歩】の動きを思い出し、攻撃の流れを意識する。
先手を取れないなら、相手の攻撃に合わせて隙を突くしかない——!
再び振り下ろされる剣。
「……今だ!」
俺は身を低くして、ゴブリンソルジャーの懐に滑り込むように移動し、剣を突き出した。
ザシュッ!
「ギャアッ!」
剣が奴の脇腹に突き刺さる。だが、浅い。すぐに盾で弾き飛ばされ、俺は後方に飛び退った。
「やっぱり硬い……!」
ゴブリンソルジャーの防御力は普通のゴブリンよりも遥かに高い。適当に攻撃しても通らない。
だが、ダメージがゼロではない。やりようはある——!
俺はゴブリンソルジャーの動きを慎重に観察した。
「……右手の動きが少し鈍いか?」
先ほど刺した脇腹をかばっている。ならば——
「勝機はそこだ!」
俺は動きを絞り、相手の攻撃をギリギリでかわし続ける。
【俊敏】を強化したおかげで、かろうじて反応が間に合っている。
そして——
ゴブリンソルジャーが剣を大きく振りかぶった瞬間!
「ここだっ!!」
俺は低く身を屈め、一気に距離を詰めると——
ズバッ!!
ゴブリンソルジャーの喉元に剣を突き刺した。
「グギャ……!」
ゴブリンソルジャーはガクッと膝をつき、そのまま崩れ落ちた。
「……っ、倒した……!」
全身が汗と疲労で震えている。だが、それ以上に、俺は確かな手応えを感じていた。
戦利品と新たな選択
ゴブリンソルジャーが消え、地面には魔石と装備が残されていた。
【ゴブリンソルジャーの魔石】×1
【ショートソード】
【革盾】
「……これ、使えるか?」
俺は落ちていたショートソードを拾い、試しに振ってみた。
「初心者用の剣よりはマシ……か?」
錆びてはいるが、切れ味は今の剣より多少良さそうだ。盾も使えそうだが、俺は片手剣のスタイルで戦っている。
「盾は売って、新しい装備資金にしよう」
今回の戦いで得た魔石やアイテムを換金すれば、ある程度の資金になるはず。
だが、それ以上に俺は——
「……もっと強くなれる」
そう確信していた。
次の戦いに向けて、俺はダンジョンを後にした。
——そして、さらなる成長への一歩を踏み出す。
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