サラリーマンの異世界life!

フシリカ

成長編

第壱章 一話 『プロローグ』

 俺の名前は吉田よしだ 幸一こういち普通のサラリーマンだ。

 俺は今、後輩である太田おおた 大輝だいきと一緒にいつもの場所酒場に向かっている。

 俺のしている仕事は経理だ。まあ普通の事務作業となんら変わりはない。

 歩きながら適当な冗談を言い合いながら移動していると目的地についた。

 俺は太田と今日あったことの雑談などをいつもの場所酒場でしていた。


「先輩はいいですよねー、僕の上司みたいなクソうざい上司がいなくてー」

「僕もぉ〜、先輩みたいな上司が良かったですぅ〜。ヒック」


「おいおい、もう酔っ払ったのかよ〜。」


「酔っ払ってないですって〜ヒック」

「もっと飲みましょうよ。先輩〜ヒック」


「家にお前一人でちゃんと帰れるのか?」


「あそうそう、これも聞いてくださいよぉ〜」


 だめだ。会話がまるで成立しない。

 今日もまた駅まで送ってやらないといけないのかよー。


「それがぁ〜、今までは朝方ぐらいに帰ったら奥さんが部屋の奥から出てきて玄関まで来てくれてね俺のこともっと早くに帰ってこいだの、浮気とかしてないかだの。俺のこと心配してくれてたのに最近になって、朝方に帰ってきてももう何にも言われなくなちまったんですよぉー」

「ほんと酷い話ですよね〜ヒック」

 

 ざまぁ(笑) さっさと離婚しろ!

 はっきり言おう。俺は夫婦、正確には女が大っ嫌いだ。

 昔騙されて以来、女には興味を失ってしまった

 年齢=童貞(42)の俺には縁のない話縁のない話。そう考えると気が少し楽になった。


「先輩顔色悪くなってませぇ〜ん?」


「悪くなってねーよ。ほら、飲むぞ」


---


気がつけばもう腕時計の短針が4を指している。

もうこんな時間か…


「おい。そろそろ帰る時間だぞ。しゃーなし家まで送ってやるよ。」


 こいつはほんとに、手間のかかる野郎だ。

 

「マジっすか?じゃあタクシーで行きますか(笑)」


「いかねぇーよ。殺すぞ(笑)」


 そんな会話をしながら帰路につく。

 俺の家は隣町にあるので後輩とはこの辺でお別れになる。


 それにしても今日は飲みすぎたな。帰りは気をつけないと…


「セーンパ〜イ。ちょっと早い〜。もうちょっとゆっくり歩いてー」


 フラフラしながら歩いている。なんとも言えないが嫌な予感がする。

 言葉では到底表すことのできないような胸騒ぎがする。


「お〜い早くしろよー。信号変わるぞー」


 バタ

 その瞬間後輩が倒れた。

 信号は赤信号を指している。だが今の時間はまだ明け方。

 幸い車通りも少ないから何とかなるだろう。

 だがここは死角だ。油断はできない周囲に警戒を払って後輩を担ぎあげた。

 その時死角に迫ってくるエンジン音が聞こえた。

 ヤバい…

 このままでは轢かれてしまう。

 急いで後輩を担いで歩道まで走ったが思うように体が動かない。

 多分後輩を担いでるせいだろう。


 ハァハァ 

 

 呼吸が乱れる。やったのことで歩道まで担ぐことができた。

 そして俺はさっきまで担いでたせいなのかわからないが重心のバランスが取れなく後ろに転んでしまった

  

「イテテ…」


 その時大きな動く鉄の塊が左折して俺の方に向かってきてる。当然俺のことに気づき減速している。

 が間に合わない。

 死ぬ。命の炎が消える。俺の人生こんなことでターンエンドなのか。

 その鉄の塊は俺のことを見下すかのように乗り越えていった。

 俺の目からは光がなくなっていった。そして意識も遠いていく。

 

 「あぁ、せめて死ぬ前に童貞だけ卒業しておきたかったなー」


 そんな願望も虚しく俺は生き絶えていた。


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 あ、俺助かったのか?

 いやそれにしてもなんとも言えない変な感じだ。

 体が持ち上がらない。動かない。なんだこれ。

 俺の体で一体何が起こってるんだ。

 恐る恐る、目を開けてみるとそこにはヨーロッパ系の女の人がこちらの顔をまじまじと笑顔で見てくる。

 

 まるで母親だ。


 ここは病院。ではなさそうだし、この女の人も看護師って感じではなさそう。

 もしかしたら俺のことを看病してくれてたのかもしれない。

 あなたは誰で、ここはどこですか?と聞こうと思いしゃべる。


「アウ、アァイ、ウァ」


「あぁ!なんて可愛いんだぁ」


「見惚れてしまうわね」

 

 おいおい、待てまて。

 これではまるで赤ん坊じゃないか。

 待てよ…

 俺の思考がフル回転した。

 これってもしかして。

 前に本で読んだことはある。本といっても漫画だがな。

 いわゆる『異世界転生』とやらを俺はしてしまったのか?

 夢の可能性もある。今日寝て明日朝起きたら病院のベッドの上でしたー。

 なんて可能性もある。

 まあ詳しいことは考えずに明日を待とう。


---

 

 どうやらこれは夢ではないらしい。

 自分の手を噛むと痛い。

 頬を叩いても痛くないのは赤ちゃんパワーだからだろう。

 

 「はぁーい。リカロスちゃーん。おまんまの時間ですよ〜」


 どうやら俺の名前はリカロスというらしい。いかにも厨二病ってかっこいいと思ってしまった自分がどこかにいた。

 あと、勘違いするな。おれにはちゃんとついてる。がな。

 おまんまの時間は最高だ。何がとは言わないがな


---


 俺がこの世界に爆誕してから5ヶ月ほど経っただろうか。

 やっと俺が『異世界転生』したという事実が腑に落ちた。それはガラスに映る自分の姿をみたからである。決してこの世界に来たことを納得しているということではない。

 だが直感でわかる。俺は地球で死んだ。死んだのだ。帰りたいとかは思ったりするが、別にそれほど強くない。これもまた運命なのだと自分に言い聞かせている。



⬛︎この世界についてまとめると

•文字が違うが言語はわかる。聞き慣れた日本語だ。

•魔法のようなものが使えること。前にこの世界のお母さんが本棚に向かって木の枝のようなもの(多分杖)を振りながらゴニョゴニョいったら散らかった本が本棚に帰っていったのをみたからである。

•剣が家の玄関においてある。ということはつまり剣術が存在するのではいないだろうか。


ということはつまりここはー


『剣と魔法の世界?!』


 

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