プロローグ
第1話
「一人で守れるのか?」
「一人?誰が一人だ。」
「もしかして、その姉ちゃんも入れて二人ってか?ククッ……、子供のいる身体で喧嘩か?」
クスクスと笑う声が聞こえ、嫌悪感が私を支配していく。私は湊の隣に立ち上がった。
「華は見てろ。」
「でも…………。」
「一人じゃないって言っただろ。」
突然、爆音が埠頭に響き始めた。私は湊に視線を向ければ、口角を上げて愉しそうにしている。
目の前の男達はキョロキョロと視線を動かし始めた。
「あの女もグルか?」
「チッ……、知らねぇ。」
「まあ、吐かせるまでだ。」
男達の背後に何十台ものライトが見えてきた。私はその光景をじっと見つめていた。
男達がソワソワとし始めたのがライトの影となり、浮き彫りになっていく。
「一人じゃないって言っただろ!」
湊の怒鳴り声を合図に、一斉にバイクから大勢の人が走って来るのが見える。
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