第55話
「規読無視は一種の返事だと思うんです」
「同感です」
斉藤さんが一回、大きく頷く。
斉藤さんはリアクション上手というか、ナチュラルに聞き上手だから、初対面から話しやすかったんだと思う。
今だって、この私がガンガン話し出す。
「目上の人とかならまだしも、友達とか対等な間柄で、返事するまでもないときの規読無視を怒られると」
「ようは気兼ねなく規読無視できる関係でありたいんですよね」
やっぱり斉藤さんは、不思議な人だ。
「はい。それで、斎藤さんは?」
「僕は色々考えたことあるんですけど、最終的には束縛しない人、って結論に至ったんですよね」
「束縛」
「はい」
聞いておいて、交際経験ゼロだからうまく反応できない。
「束縛されたことないけどたしかに耐えられないだろうなあ」
「典型的なのが、仕事と私どっちが大事なの?ですよ」
「ひいっ」
取り敢えず無難な返事をした私に、斉藤さんは今度は経験のない私でもリアクションしやすいような話し方をしてくれる。
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