第24話

いつの間に眠っていたのだろう。


ぼんやりした頭と視界で時計を確認すると、もう五時半を回ろうとしていたところで。



やっぱ休みの日は睡眠に限るなーなんて考えながら、スマホのライトが緑色に点滅しているのが目に入ったので、寝転んだまま手を伸ばした。


案の定、富井くんからラインのメッセージだ。


〝友達〟を口実に提案されたラインの交換も断れず、それからはまあ頻繁にメッセージを送ってくれている。



私にこんな連絡くれるの、富井くんくらいだよ。

なんで私に惚れたのか……世の中分かんないよな。




ラインを開いて暫く、事態が理解できず固まった。


固まったあとで、じわじわと私の眉間に皺が深くなっていくのを感じずにはいられない。



「隆二!おい隆二出てこいあほ!」

「どうしたの百合、隆二なら今友達の家だけど」

「はあん!?」



正面の隆二の部屋の扉をバンバン叩いていると、台所でハンバーグを作っている最中のお母さんが目を丸くした。


友達の家だとぅ?


怒りの矛先不在中の私は耐えきれず、さ迷う空気にパンチとキックを入れる。全くすっきりしない。



ふーふーと肩で息をして、もう一度ラインの富井くんとのトーク画面を開けた。


何度見てもそれはもう変わらない。

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