第16話

結局私は富井くんと帰り道を歩いている。


なんだこれ。今日が初対面だぞ。

このままでは完全に富井くんのペースだ。



「富井くんさあ」

「うん」

「肉食系なんだね」



最近の男は草食化していると嘆かれている中、富井くんは草食の〝そ〟の字も見当たらない。



「そうかな」

「言われない?」

「言われる。まあでも俺としては、百合ちゃんにとっての主食系男子になりたいかな」



富井くんは、素晴らしいドヤ顔で私を見つめる。


何言ってるのこの人?



「……はあ」

「どんな魅力的な肉や野菜が側にあろうと結局欲する米のような、そんな男になりたい」

「あはは……」



やばいこの人。めんどくさい。

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