第2話【雪の結晶】

 今から語る物語は2年前の出来事だ。大神天河おおがみてんが(14歳)、中学2年生冬の話。

当時妹の小真莉こまり(4歳)が母親と一緒に幼稚園から帰ってきた。リビングでくつろぐ大神に向かっていきなり———。


小真莉「クリスマスツリーかざろうや〜」


と言い出した。どうやら今日、外が非常に寒かった為幼稚園の教室内でおりがみをしたらしい。その時、先生と一緒におりがみで雪の結晶を作った。


幼稚園の先生「小真莉ちゃん、上手に出来たね」


小真莉「うん!せんせい、コレもってかえってえぇ?」


幼稚園の先生「もちろん、お家の人に見せてあげて」


小真莉「うん!」


この時小真莉は先生に褒めてもらった雪の結晶をクリスマスツリーに飾ることを思いついたようだ。

大神(天河)は母親に昨年片づけたクリスマスツリーの収納場所を聞き、取りに行った。

取りに行くついでに子供部屋にいる次男の健太けんた(8歳)に「今からリビングへ行ってくれへん」と言うと健太は少し反抗的な態度をとった。


健太「えぇ?!今?」


大神(天河)「今やで。都合悪いんか?」


健太「悪いと言えば悪い。さっき小真莉が大声でクリスマスツリーがなんやかんやって言うてたけど。もしかしてそれ関係?」


大神(天河)「おぅ。ホンマ察しがえぇな。健太君は(笑)ほな、よろしくな」


子供部屋を去って別の部屋へ向かう大神。その後ろを追いかけ、ついてゆく健太。


健太「アニキどこ行くねん」


大神(天河)「親父と母さんの部屋やで」


両親の部屋は和室だ。その部屋にある押入れの【天袋てんぶくろ】にクリスマスツリーを収納したらしい。

2人は和室へ向かった。押入れの右側の襖を左へスライドして開ける。下段から脚立を取り出し、開け方の襖を右へスライドさせ閉めた。

折り畳まれた脚立を広げ健太が脚立の足を持って支える。大神は脚立の上に登り押入れの1番上天袋へ手を伸ばしこちらの戸もさっきと同様に左へスライドさせた。


すぐにツリーは見つかった。埃を被らないように透明なゴミ袋の中にツリー入れを全体を覆っている。その隣には【クリスマスオーナメント】と太マジックで書かれた中くらいの段ボール箱がある。

早速、ツリーから取り出し健太に手渡す。ツリーを受け取った健太は脚立から数m離れた場所に置いた。次に中くらいのダンボール箱を受けるとツリーの隣に置く。


大神は天袋の戸を右にスライドして閉めた。脚立はツリーの飾り付けが終わるまで、押入れの近くに置くことにした。ツリーを健太が、中くらいの段ボールを大神が運びリビングへ向かう。リビングにいたのは小真莉だけだった。


大神(天河)「あれ?母さんは?」


小真莉「ばんごはんのかいものにいくって」


大神「ほな、帰って来るまでツリーの飾りづけやってまうか」


3人はツリーに飾り付けをしていく。小真莉の作った雪の結晶のオーナメントを飾るには細工する必要がある。

健太は結晶の先端部分の一箇所にピンピンに鉛筆削りで先を尖らした鉛筆を刺して穴を開ける。

その穴に料理用に使う凧糸を通した。出来栄えはまぁまぁだろう。小真莉は細工した雪の結晶を健太から受け取ると余ったスペースに飾った。

ツリーを飾り終えたところで父親と一緒に母親は帰ってきた。買い物帰りに偶然父親に遭ったらしい。

小真莉は母親の腕をひっぱりクリスマスツリーと自分が作った雪の結晶のオーナメントを自慢する。


小真莉「おかあさんみて〜。これ、こまりがつくったんやで!すごいやろ!」


母親「すごいなぁ。こまりちゃん1人でしたん?」


小真莉「ううん。けんたにいちゃんとおにいちゃんの3にんでしたよ」


母親「そう、よかったね」


ぐっぅぅう大きなお腹の虫が鳴いた。健太のお腹だ。その音を家族全員に聞かれ健太の顔は真っ赤になる。


母親「あらら早く、晩御飯にしなあかんね」


健太「お、オレ、手伝う」


大神(天河)「俺も脚立押入れになおし片づけたら手伝うわ」


小真莉「こまりも〜」


父親「おれも手伝うでぇ。みんなでやった方が早いさかい」


母親「あなたはええわ(要らない)。先にお風呂入って(笑)」


父親「そんなぁ〜おれも混ぜてぇなぁ」


外伝2話End

お題【雪】

出題日;2024年12月23日

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