プロローグ

第1話

山岸千鶴子が、自宅マンションの屋上から飛び降りたのは、大晦日の夜だった。


スランプ。


小説家だった彼女の周囲の人間はそう話す。


彼女が鬱気味だったのは確かに事実だ。


だが、果たして本当に自殺なのか。


現場に立ち会った刑事の桂木は、その奇妙な遺体を目の前にして、どうも納得がいかなかった。


赤いリボンを全身に巻きつけた遺体。



それは、かつて彼女の書いた小説の一場面を見ている。そんな気分だった。



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