異常な小説の挿絵を頼まれた
城異羽大
第1話 墜縁
私は『シャトー』という名前でインスタをやっています。名前の佐藤をもじってシャトーブリアンみたいにしただけで安易な名前です。
趣味で写真を撮るのが好きで、それなり大きな賞を取ったら、個展を開いてました。
そうして活動をしていると、とあるメッセージが届きました。
アイコンは初期設定
アカウント名は『カバネ』
インスタのメッセージはスパムも多いのですが、たまに出展の依頼も来るので、とりあえずは返すようにしています。それなりに知り合いも多いので。
来たメッセージは下記内容です。
「はじめまして!僕はカバネと申します。趣味でホラー小説を書いている者です。この度、同人誌を出そうと思いまして是非ともシュガーさんの写真を使わせていただきたく連絡させていただきました。」
地元にいた時は、たまにこの手の話は受けていました。上京してあまりインスタを更新しなくなってからは、離れていましたが。
ちなみに私も高校生の頃に怪談を書いてました。
現実に起こっているかもしれない非現実。
思春期に荒れていた自分にとっては唯一の逃げ場でした。
今でもたまにその手の漫画や小説を読みますが、めっきり遠ざかってしまいました。
そういう心情もあって、提案にのることにしました。
しかし条件を一つ出しました。当然といえば当然ですが。
書いてる小説を見せて欲しい
そういう旨の返信をしたところ、快諾のメッセージがきました。こちらです。
「ありがとうございます!もちろん問題ないです!前は、城異さんって方に頼んでたんですが、自分も書きたくなった!とか言ってそのままダメになっちゃったんですよ。助かりました〜。小説ですが、一気に送るのもアレなので、一話ずつ送りますね!よければ感想もいただければ!!」
こういう返信が来まして、正直言うと後悔しました。
前任がいた。ダメになった。
少なからずリスクがあるのでしょうか。
しかし私の悪いところが出てきました。
好奇心
話で聞いていた未知の世界に関わるチャンスがぶら下がってる。もしかしたら危険な目に遭うかもしれない。それを乗り越えれば私の作品の質は大きく上がるかもしれない。
そんな思いが湧き上がり、どうしようもなく惹かれてしまいした。
特殊な体験は、アーティストにとって武器になる。
ちょうどスランプに陥っていた私には、蜘蛛の糸のように見えました。
返信があってから数刻、私はすぐに快諾の連絡をしました。
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